学習と健康・成長

子どもの歯を守るため保護者が知っておきたいこと 塾通いが虫歯の遠因にも!?

2021.06.09

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夏野 かおる
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来たる人生100年時代では、「健康寿命」をどう伸ばすかが重要なポイントとなります。特に歯は全身の健康に関わるもの。歯がなくなると認知症や脳卒中、転倒、糖尿病などのリスクが高くなると言われています。今回は子どもの歯の健康を維持するために、保護者が知っておきたい知識を専門家に伺います。

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話を聞いた人

石谷 徳人さん

小児歯科専門医/イシタニ小児・矯正歯科クリニック

(いしたに・のりひと) 歯科医師/歯学博士。イシタニ小児・矯正歯科クリニック院長。鹿児島大学歯学部臨床教授。専門は小児期からの咬合治療。鹿児島大学歯学部卒業後、鹿児島大学病院小児歯科勤務を経て、2008年に鹿児島県姶良(あいら)市にイシタニ小児・矯正歯科クリニックを開設。小児期からの生活環境を含めた口腔内の健康管理を小児歯科、矯正歯科、予防歯科のトータルでサポートしている。

約30年で虫歯のある子どもは半減。「老後まで歯を残したい」意識が高まる

——近年、「定期歯科検診」や「歯周病予防」を呼びかけるテレビCMやポスターなどが増えたように感じます。保護者が子どもだった頃と比べて、デンタルケアの意識に変化はありますか?

そうですね。今の保護者が子どもだった頃と比べて、虫歯予防に対する意識は確実に上がっていると言えるでしょう。12歳時点で虫歯が1本以上ある子どもは、平成元年(1988年)には88.3%でした。それが平成28年(2016年)になると、35.5%にまで低下しています(厚生労働省・文部科学省調べ)。つまり、約30年間で虫歯のある子どもは半数以下になったことになります。

理由のひとつと考えられるのが、学校の取り組みに加え、保護者世代の健康意識の高まりです。中でも、「健康寿命(日常的な医療・介護に依存せず、自立して生活を営める期間のこと)」の考え方が浸透したのは大きい。「高齢者になっても、自分の歯でしっかり噛んで食べたい」と考える方が増え、歯科治療へのニーズも大きく変化しました。

——歯科治療へのニーズは、具体的にどう変わってきたのでしょうか。

かつては、「歯医者=歯が痛くなったら治してもらうところ」と捉えている方が多かったように思います「いずれ歯が悪くなったら差し歯やインプラントを入れればよい」と安易に考え、生涯にわたって自分の歯を残す意識があまり育っていなかったのです。

しかし、健康意識が高まるにつれ、「いつまでも自分の歯で生活したい」というニーズが高まってきました。“本物のように見える歯”でなく、“本物の歯”でしっかり噛みたいと考える方が増えてきたのです。この意識変化は「8020運動(※)」の達成率にも表れており、1981年では10%未満でしたが、2016年では51%にまで上昇しています。

歯科に限らず、病気は予防と早期発見が大切です。歯を長く残すには、毎日の過程での口腔ケアに加えて、定期的に検診を受けるのが一番。保護者世代にそのような考えが広がった結果、お子さんの虫歯も減ってきたと考えられます。

※ハチマルニイマル運動。1989年より厚生省(現・厚生労働省)と日本歯科医師会が推進している「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という啓発活動を指す。

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