大学入学共通テスト 傾向と対策

共通テスト「形式優先、各科目が目指す力を問うていない」 大学教授ら批判

2021.06.07

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山下 知子
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国語 「やったふり」の試験になっている

国語では、日本大の紅野謙介教授(日本文学)が意見を述べました。

今回の共通テスト(第1日程と第2日程)では、現代文4題と古文2題、漢文2題の計8題のうち、7題で複数の資料を突き合わせての問題や、対話文が出題されました。紅野教授は「学習指導要領を反映しての出題だが、無理やり作らされている感じのする問題が多く、相当なひずみが生じている」とし、「複数資料を比較して問題点を整理したり、情報の妥当性を判断したりすることを本気で求めるのであれば、大問ひとつ20分ではできない。それは作問委員だって分かっている。『一応入れておいた』という程度で、テスト問題として正しいのか。やったふりをしただけになってはいないか」と問いかけました。

国語に限らず、共通テストでは多くの教科で先生と生徒などの対話形式が出ています。紅野教授は「意味のない対話文になっているものが多い」と指摘しました。

大学入学共通テストに臨む受験生たち=2021年1月16日、千葉市稲毛区弥生町の千葉大学、佐藤瑞季撮影
大学入学共通テストに臨む受験生たち=2021年1月16日、千葉市稲毛区弥生町の千葉大学、佐藤瑞季撮影

数学 数学のテストなら、数学の力を問うものに

数学については、予備校講師の大澤裕一さんが「センター試験と変わらないという意見もあるが、そんなことは全然ない。非常にゆがんだものになっている」と述べました。「会話形式の導入や、現実的な場面設定などを目指した結果、数学に関係しない設定が生まれ、文章量が非常に多くなっている。数学そのものの力を適正に測れている試験問題とはいえない」と批判しました。

大澤さんは、形式ありきの姿勢が作問者に負担をかけ、問題の質の低下を招いている、と考えています。「共通テストの位置づけからいっても、基礎をしっかりと問う、シンプルな試験を望みたい。余計な設定はいらない。数学のテストなら、数学の力を問うべきだ」と訴えました。

物理 問題の形を整えることに集中

物理では、予備校講師の吉田弘幸さんが「フラットなデータを与えてそれを読み取らせるなど、非常に工夫して作問している」としつつも、「作問方針に従って問題の形を整えることに集中してしまい、内容がおろそかになっていると思われる部分がいくつかあった」と述べました。

また、「物理で使う日本語は精緻(せいち)であるべきだが、ぼんやりとした使い方をした出題例があり、しっかり考えると問題の趣旨がよく分からなくなるものもあった。センター試験末期からこうした傾向があり、大変危惧している」と話します。出題ミスが疑われる問題もあるといい、現在、大学入試センターに問い合わせ中といいます。

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