一色清の「このニュースって何?」

山県選手が陸上100メートルで日本新 → 時間と距離と速度の関係を計算しよう

2021.06.11

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一色 清
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日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は、男子100メートル決勝、9秒95の日本新記録で優勝した山県亮太選手=6月6日、鳥取市、代表撮影)

山県選手は時速何キロで走っている?

6月6日、男子陸上100メートルで、山県亮太選手(当時28)が9秒95の日本新記録を出しました。これまでの日本記録はサニブラウン・ハキーム選手が2019年に出した9秒97でした。日本選手として初めて10秒を切ったのは、17年の桐生祥秀選手で、その時のタイムが9秒98。その後、小池祐貴選手も9秒98を出しています。9秒台の現役選手が4人もいる国は世界でも多くありません。少し前までは、日本人が短距離で世界と勝負するのは無理だろうと思われていたのですが、オリンピック決勝のスタートラインに複数の日本選手がつくのも夢でない時代になってきました。

陸上競技の走る種目は、距離と時間とスピードの関係が正確にわかりますので、算数の勉強にいろいろと応用ができます。まず、山県選手は今回、時速何キロで走ったかを計算してみましょう。時速というのは1時間に走る距離で、スピードを表すものです。1時間は60分×60秒で3600秒です。100メートルは0.1キロです。3600÷9.95=361.8で、山県選手なら1時間では0.1キロの361.8倍の距離を走れることになります。つまり、0.1×361.8=36.18キロとなり、時速36.18キロとなります。もちろん山県選手は100メートル走のスピードを1時間も持続できませんので1時間で36.18キロ走れるわけではありませんが、この100メートルを走っているスピードは時速36.18キロになります。わたしたちなら全速力で自転車をこいでもなかなか出せないスピードです。

男子陸上100メートルの世界記録は、ジャマイカのウサイン・ボルト選手が09年に出した9秒58です。山県選手の日本記録とはまだかなり差があります。ボルト選手のスピードは3600÷9.58×0.1=37.58となります。つまり時速37.58キロで、山県選手より1.4キロほど上回っています。

では、この二人がそれぞれの新記録を出した時のスピードで同じレースを走ったとすれば、ボルト選手がゴールした時に山県選手は何メートル後ろにいるかの計算はできますか。山県選手は9秒58で何メートル走れるかがわかればいいのですね。今度は山県選手のスピードを秒速で出しましょう。100メートル÷9.95秒=10.05。つまり秒速10.05メートルです。これに9.58秒をかければ、ボルト選手がゴールした時に山県選手がどこを走っているかがわかります。式は10.05×9.58=96.28となります。山県選手は96.28メートルのところですから、3.72メートル離されていることになります。上には上がいますね。

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