新しい英語の学び方

英語の授業、学習指導要領の改訂でどう変わる? 「まず文法」から「取りあえず使ってみる」に

2021.06.10

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斉藤 純江
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学習指導要領の改訂で、英語の学びが大きく変わります。小学校では2020年度から5、6年生で英語が教科になり、中学では2021年度から授業は英語で行うことが基本になりました。高校も2022年度から、ディスカッションなどを通して発信力を強化する科目「論理・表現」が新設されます。英語の授業や学習法はどう変わるのか。家庭での効果的な勉強法と併せて専門家に聞きました。(イラストはFROG KING STUDIO・太田朝子)

Yoshida_Kensaku

話を聞いた人

吉田研作さん

上智大学名誉教授

(よしだ・けんさく)元上智大言語教育研究センター長。文部科学省「英語教育の在り方に関する有識者会議」の座長や、英語教育関連の審議会委員などを歴任。

「英語でできること」を増やしていく

これまでの学習指導要領は、文法構造を学んだうえで、それを使って会話してみる、という言語構造を中心としたカリキュラムでした。学習の流れも、文法構造の難易度に沿って組み立てられていました。会話やコミュニケーションの土台を築くものとして、まずは文法の仕組みや言語構造をしっかり身につける、という日本の英語教育で長く続いてきた考え方を反映しています。

それが、今回の改訂で大きく変わりました。最初に文法や規則を教えるのではなく、まず児童や生徒自身が英語を使ってみて、文法や発音の課題を見つけ、解決の方法を考えてみる。教師はそこに適切な助言を与え、子どもたちの成長を手助けする、という学びになったのです。コミュニケーションから始めて、「ここは違うな」とか「この表現がわからないな」などと児童や生徒が気づいたときに、裏づけとなる文法や言語構造を説明すれば、英語という言語を効果的に習得することができます。

カリキュラムも、英語を使って何ができるのかという「CAN-DO」の難易度の順に構成されるようになりました。きっかけとなったのは、CEFR(セファール、欧州言語共通参照枠)という「英語で何ができるのか」を測る指標です。「自分の名前を言える」「好きなことや嫌いなことが言える」「自分の住む町や国についての話ができる」というように、身近なことから広いことへ、具体的なことから抽象的なことへと「できる」領域を広げていきます。

文法や言語構造を学ぶことは大事だけれども、その習得が第一の目的ではなく、コミュニケーションに必要な要素に過ぎない、という考え方も改訂の根底にあります。こうした変化はグローバル化が進んだ2000年ごろから強まりました。日本の企業で英語公用語論が出てきたのもこのころです。

英語が使える日本人を育成するため文部科学省が行動計画をつくり、実践的な英語を身につける手段として、11年度からは小学5、6年生の外国語活動も始まりました。これは、最初に文法や言語構造を教えるのではなく、英語を使ってみることから始める、という発想で始まったのが非常によかったと思います。

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