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都立高入試、男女別定員制の見直しを 教員ら会見「制度は役割を終えた」

2021.06.10

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山下 知子
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東京都立高は全日制普通科の一般入試で男女別に入学定員を設け、合格者を決めています。男女で合格ラインが大きく異なっているのは問題があるとして、都立高の教員らで作る団体が6月9日、都庁で会見を開きました。「公正な入試とは何なのかが問われ、ジェンダーの問題にも直結している。都教育委員会は男女別の合格最低点を公表して議論を深め、男女別の定員を段階的になくしていってほしい」と訴えました。(写真は、会見する都立高の教員ら=2021年6月9日、都庁)

会見したのは、都立高教員の男性と神奈川大の平山昇准教授。他の賛同人約10人とともに現在、インターネット上の署名サイトChange.orgで都立高の男女別定員制の廃止を求める署名活動を行っています。6月8日午後8時現在で2万9082人から賛同を得ており、6月末まで署名を集めた上で、7月上旬に都教委に提出するそうです。

都立高の多くの一般入試は内申点が300点、5教科の学力検査が700点の計1000点満点で、得点が高い順に合格が決まります。都教委によると、2021年度入試(21年度入学者向け)では、都立高の全日制170校のうち、普通科で学年制をとる110校が男女別の定員を設けました。都道府県全体で男女別の定員を設けているのは東京都だけです。

都立高の男女別定員制は、戦後間もない1950年度に設けられました。それまで女子が通っていた旧制高等女学校では理数科目の授業時間が少ないなど、当時は男女の間に大きな学力差があり、共学化を促すのが狙いでした。現在も都立高と私立高で全体の定員を調整した上で、公立中学の卒業予定者の男女比から、男女別の定員を設定しています。

男子と女子の合格最低点に大きな差が出るようになったため、男女別定員制を残したまま、98年度入試からは緩和措置が導入されました。男女別ではなく、男女を一つの母集団にして得点順に並べ、合格者を決めるという仕組みです。現在は定員のうち9割までは男女別に合否を判定し、残る1割は緩和措置の対象とすることができます。2021年度入試では、男女別定員制がある110校のうち42校が緩和措置を実施しました。都教委によると、措置を導入した学校の多くでは、男女の合格最低点の差が縮まったといいます。

記者会見で掲げられた、ネット署名の案内=2021年6月9日、都庁
記者会見で掲げられた、ネット署名の案内=2021年6月9日、都庁

しかし、毎日新聞社が情報公開請求で都立高の男女別の合格ラインの違いに関する資料を入手し、報じた記事によると、多くの高校では依然として女子の合格最低点が男子より高くなっていました。男女の点差が100点以上ある高校が複数あり、なかには女子の合格最低点が男子より243点高い例もあったといいます。同社は入手した資料をニュースサイトで公開しています(https://mainichi.jp/articles/20210526/org/00m/040/001000d)。

都立高の入試制度について、平山さんは会見で「自分よりも点数が低い男子が合格し、女子である自分は落ちた、という性別を理由にした合否決定は入試の公平性の根本に関わる。私立高の定員との関係など、都の側にはいろいろな理由があると思うが、点数が高いのに落ちた女子を納得させられるのか。性別による不公平な扱いをなくすというゴールに向けたプロセスを議論する時だ」と指摘。同席した都立高の男性教員も「男女別定員制は当たり前だと思っている教員も多い。今回の署名をきっかけに、まずはじっくりと議論をする場を設けたい」と話しました。

そのうえで、男性教員は都教委に、①男女別定員を設けているすべての高校で緩和措置を設ける②いまは1割にとどまっている措置の対象を拡大する③男女別の合格最低点を受験生に公開する――ことなどを求めました。

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