学習と健康・成長

東日本大震災から10年、防災教育はどう変わったか 当時知らぬ子どもたちへ伝えるために

2021.06.22

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夏野 かおる
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各家庭の事情に応じた備えを

——災害はいつ起きるか分からず、つい備えを後回しにしてしまいがちです。とくに子どものいる家庭において、充分な備えをしていないと、災害時にどのような事態に陥ると考えられますか。

わかりやすく言えば「一番困るもの」で困ります。たとえば、地震で地域一帯が断水し、トイレが使えなくなったらどうなるでしょうか。

仮設トイレには何十人も並ぶことも考えられますから、子どもが我慢できなくなるかもしれません。備えがなければ最悪の場合は漏らしてしまうかもしれませんし、流せないご家庭のトイレに溜めるしかないかもしれません。そんな時に、携帯トイレなどがあれば、いくらかは楽になるでしょう。

食事やトイレ以外にも、コンタクトレンズやスマートフォン、携帯ゲーム用のモバイルバッテリー、身体にあった衣服、思い出の品など、各家庭によって「これがないと困る」ものがあるはずです。

各家庭の事情まで行政では把握しきれないため、「わが家にはこれがないと困る」というものを、日頃から多めにストックしておくようにしてください。

——災害から子どもを守るために、保護者はどのような心構えをすべきでしょうか。

前に述べたとおり、保護者や教職員がいつも子どもの近くにいられるとは限りません。ですから、子ども自身が最低限、身を守れるように家庭でも教える必要があります。

たとえば地震なら、「まず低く・頭を守り・動かない」をしっかりと伝えておくことです。倒れてきそうな家具がないか、一緒に点検するのもよいですね。風水害や津波の危険性がある地域であれば、ハザードマップの見方や適切な避難場所・避難経路を教えておくことも重要になるでしょう。

そして、備蓄の話につながりますが、子どものことをよく知っているのは保護者です。避難所生活になったとき、子どもが少しでも安心できるためにはどのようなものが必要になるでしょうか。ぜひ、ご家庭でも話し合ってみてください。

人の多いところがどうしても苦手な子なら、避難所で周囲の目線を遮れるような工夫が必要です。ダンボールなどで間仕切りを作ったり、1-2人用の小型のポップアップテントなどを用意しておいたり。動画を見ることが好きな子なら、スマートフォン用のモバイルバッテリーや、周りに迷惑をかけないようイヤフォンなどもあるとよいでしょう。

こうした家庭の事情に応じた備えは、行政はもちろん、防災の専門家でも把握することは困難です。だからこそ、保護者であるみなさんがオリジナルの備えをしなければなりません。

また、家庭のライフステージはどんどん変化していきます。子どもも中高生、大学生と成長し、保護者も年齢を重ねれば、おのずと備えの内容も、子どもに伝えること、家族で話し合うことも変わってきます。

10年前と比べて、各ご家庭の状況も大きく変わったことでしょう。学校・地域・家庭、それぞれで子どもへの「防災教育」は様々な変化が見られました。そして、これからも変化し続けていかなければならないのだと思います。

(編集:野阪拓海/ノオト)

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