学習と健康・成長

「石」の奥深い世界を知ろう 身近な川で石探し、道具は? 見分け方は?

2021.06.21

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夏野 かおる
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もうすぐ夏休み。どこかへ出かけたいと考えつつも、新型コロナウィルスの流行状況を鑑み、「今年は旅行はやめておこう」というご家庭も多いのでは。そんなときにチャレンジしたいのが身近な川での石探しです。自然と触れ合うきっかけになり、子どもの宝物も見つかる「石探し」の魅力について、自然環境研究オフィス代表の柴山元彦さんに伺いました(写真は五色石[ごしきせき]と呼ばれるチャート=柴山さん提供)。

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話を聞いた人

柴山 元彦さん

自然環境研究オフィス代表 理学博士

(しばやま・もとひこ)大阪市立大学大学院博士課程修了。38年間にわたり、高校で地学を教える。元大阪教育大学附属高等学校副校長。定年後は地学の普及のため「自然環境研究オフィス(NPO)」を開き、大阪市立大学、同志社大学で非常勤講師を行った。著書に「ひとりで探せる 川原や海辺のきれいな石の図鑑」「こどもが探せる川原や海辺のきれいな石の図鑑」(いずれも創元社)など。

石探しは「見つけた!」の連続 科学リサーチの基礎にも

——柴山先生は、大人・子ども向けの石探しワークショップを多数開催されています。ずばり、石探しの魅力とは。

やはり、「見つけた!」という楽しみが味わえることでしょうか。探しているものが見つかったときの喜びは、子どもはもちろん、大人にとっても魅力的なはず。石探しは、まさに「あった!」の連続で、「またやりたい」と思わせる力を持っています。

実際に、私のワークショップでは、もともとは子どもの付き添いだった保護者がハマってしまったというケースも。子どもへの教育の場としてはもちろん、保護者が思わぬ趣味を見つける場として、多くの方に参加していただけています。

——「宝探し」に似た楽しみがあるのですね。教育面では、どのような効果がありますか。

教育効果は、「身の回りの自然への感度が高まる」「調べる力がつく」の2点にまとめられるでしょうか。

たとえば、子どもが見せてくれる“石”を見ると、実際にはコンクリートだったり、レンガの破片だったりします。自然をじっくりと見たことがないため、人工物と本物の石の区別がつかないのです。

そこで、ワークショップを通して自然観察を行うと、「本物の石ってこういうものなんだ」と知識が身につく。すると、身の回りの自然にも目が向くようになり、近所の公園に落ちている石ですら、科学的興味の対象になるのです。

さらに、興味を持つ力がつくと、調べる力もおのずから育つようになります。「これは何の石かな?」と図鑑を開いたり、特徴から考えたり。大好きなことだから、調べるのも苦になりません。こうして身につけた力は、興味・関心が移り変わっても応用できる、リサーチスキルの基礎となります。

実際にワークショップに参加された子どもの中には、夏休みの自由研究として石の標本を作り、賞をもらった子もいます。楽しみ方は人それぞれですが、石探しをきっかけに、自然に目を向ける姿勢を身につけてもらえると嬉しいですね。

——石探しをきっかけに、地学全般への関心が高まるケースもありそうです。

ええ。実は、ワークショップのねらいはそこにあるんです。

理系の大学入試では、理科の受験科目が「物理」「化学」に指定されているケースが多い。そのため、「受験に必要のない科目は教えない」という考えから、「地学」を開講しない高校がとても多いのが現状です。

しかし、みなさんもよく知る通り、日本は地震をはじめとした災害の多い国です。地学には災害のメカニズムを知るうえで必要な知識が盛り込まれており、日本に住むのであれば、ぜひ知ってほしい内容ばかりです。

石探しにおいて、目的の石を探すには、岩石自体の性質・分類はもちろん、付近の地質にも目を向ける必要があります。石探しをきっかけに、地学に関心を持つ子が増え、より教育が充実していけばというのが、私の秘めたる願いなんですよ。

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