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「石」の奥深い世界を知ろう 身近な川で石探し、道具は? 見分け方は?

2021.06.21

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夏野 かおる
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もうすぐ夏休み。どこかへ出かけたいと考えつつも、新型コロナウィルスの流行状況を鑑み、「今年は旅行はやめておこう」というご家庭も多いのでは。そんなときにチャレンジしたいのが身近な川での石探しです。自然と触れ合うきっかけになり、子どもの宝物も見つかる「石探し」の魅力について、自然環境研究オフィス代表の柴山元彦さんに伺いました(写真は五色石[ごしきせき]と呼ばれるチャート=柴山さん提供)。

水晶、ガーネット、砂金……出かける前にターゲットを決める

——ワークショップでは、川原で石を探すそうですね。「川」が石を探すのに適しているのははぜですか。

研究の場合ですと、鉱物や石を調べるには、山に向かうのが普通です。なぜなら、どのような石がどこに出現するのかを正確に記録する必要があるため。川に流され、遠く離れたところで見つかった石は場所の特定に適さないためです。

しかし、趣味として探すのであれば、そこまでの厳密さは求められません。それならば、上流からさまざまな石が流れ着く川に行ったほうが、豊富な種類が観察できます。また、石は流される過程で磨かれていくので、より美しく、輝きを増した石が見られる良さもあります。

しかも、欲しい石に合わせて、探す場所を選びやすい。川の石は上流のほうでは大きくゴツゴツとしているのに対し、下流になると小さくて丸い石になります。場所ごとに見つかりやすいサイズが決まっているので、欲しい石のイメージに合わせて計画を立てられるのもメリットと言えます。

——石探しに行く前に、あらかじめ標本のイメージを決めておくのですね。

ええ、そうです。なぜかというと、目標を決めずに石探しに行くと、特定の種類に集中できず、思うような成果が得られないためです。

出かける前に「今日はあの石を探すぞ」と決めていると、不思議とそれらしい石にすんなり目が留まるようになります。できれば1種類、多くても2種類程度にターゲットを絞るのがおすすめです。子どもの場合は、集中できる時間が短いので、「最初はこれ、次はこれ」と複数の目標を決めておき、時間ごとに区切って探させるのも手です。

——川では、どのような石が見つかることが多いですか。

どこの川でもよく見つかるのは「石英(せきえい)」です。地殻(地球の表面)を構成する元素のうち、もっとも多いのは酸素で、次に多いのはケイ素です。石英は、またの名を二酸化ケイ素(SiO2 )といい、酸素とケイ素でできた石。したがって、比較的どこでも見られるのが特徴です。白い塊になっていたり、別の石に白いすじ(縞模様)となって含まれていたりするので、探してみてください。

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比較的どこの川でも見つかりやすい石英

続いて、石英が六角形の柱状になったものが「水晶」です。水晶は「お店で買うもの」のイメージがありますが、小さいものであれば、意外と川原でも見つかります。ポイントは、まず石英を見つけて、石の“くぼみ”をのぞいてみること。水晶は、石英と同じ成分が結晶となって成長したものですから、石英のくぼみを探してみるのがもっとも手っ取り早いのです。

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石英のくぼみにある水晶

そして、石英・水晶の次に見つかりやすいのが「ガーネット」です。ガーネットは、マグマが地表で固まってできる石(火山岩)や、地下深くで固まってできる石(深成岩)、マグマの熱で変化してできる石(変成岩)の中に生まれる性質があります。「地震大国」と言われる日本は、火山やプレートの活動が盛んな国。そのため、これらの岩石に含まれるガーネットも、比較的いろいろな場所で見つかるでしょう。といっても、宝石として加工されたガーネットと違い、くすんでいたり、茶色っぽく見えたりするかもしれません。

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川で見つかるガーネット。加工前はこのように茶色っぽく見える

それから、日本刀の材料である「磁鉄鉱(じてっこう)」もたくさん見つかります。黒っぽい砂にはだいたい磁鉄鉱が含まれており、川底の砂をパンニングすると採集できます。これは砂金取りと同じ方法ですから、ついでに金を探してみてもよいかもしれませんね。

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鉄製品を作る材料にもなる磁鉄鉱
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少し深みのある、お皿状の道具(パン)に砂を入れ、水の中で回すことで鉱物を集めるパンニング。不要な軽い砂が飛び、パンには重い鉱物だけが残る(柴山元彦、井上ミノル『こどもが探せる川原や海辺のきれいな石の図鑑』創元社より)

あとは、場所によってはメノウ、カルセドニー(玉髄)、蛍石、孔雀石などが見つかることもあります。

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メノウ(左)、カルセドニー(左)

ここに挙げたのは一例ですが、とくに種類にこだわらず、好きな色の石を探すだけでも石探しは楽しめます。たとえば、チャートは五色石(ごしきせき)と呼ばれるほど多彩で、表面につやのある、とても魅力的な石です。こうした石を色ごとに集めて並べるだけでも、きっと素敵な標本になると思いますよ。

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