大学中退を防ぐために

大学中退予防のカギは高校にあり オープンキャンパスで目を養おう

2021.06.23

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豊 吹雪
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今や2人に1人以上が大学進学をする時代です。しかしその結果として、中途退学者も増えています。多くの大学は中退を未然に防ぐために様々な施策を講じていますが、やはり学生本人が自分に合った大学を選ぶことが何より大切です。オープンキャンパスが本格化する夏を前に、大学の職員として中退予防に取り組む九州産業大の一ノ瀬大一さんと、進路指導のプロの倉部史記さんに、どのような観点で大学選びをしたらいいのか、聞きました。(写真は、ウィークデー・キャンパス・ビジットでの体験を振り返る高校生たち=2019年10月、福岡市の九州産業大、同大提供)

高1の文理選択が原因のケースも

九州産業大のWCVのような進路発見型プログラムを採り入れた大学はまだまだ少数です。

それを踏まえ、進路指導のプロ、倉部史記さんは「オープンキャンパスは大学のPRの場。都合の悪いデータをわざわざ出してはこないということを前提に、一番大切な、大学が提供する『学び』が本当に自分のためになるものなのか、意識的に質問してほしい」と話します。

模擬授業であっても、その大学が提供する学びの質をある程度は推測することができます。もし、ある資格に強い学科だったら、なぜ合格者が多いのか、どんな授業をするから合格するのか、具体的に聞くことを勧めます。

多くの大学では、学生が案内役をしています。授業の中身や履修に関すること、留年する学生の割合や留年の理由、オンライン授業の充実度など、先輩たちの実感に基づいた話を聞くと、より具体的に理解できるといいます。

さらに、より理解を深めるために、「さまざまな軸で比較をすること」を倉部さんは勧めます。

例えば、文系・理系を決める前であれば、両方の学部・学科を見る。大規模校と小規模単科大学の比較をしたり、グローバル教育に力を入れている大学と地域連携に力を入れている大学を見比べたりしてもいいといいます。女子なら女子大を見ておくこともいい経験になるかもしれません。何より、第1志望だけでなく、入学後、満足した大学生活を送れそうな第2志望、第3志望を見つけることがとても大切だと指摘します。

つたなくても、自分で考え決定する。そういうことを積み重ねていくことが、大学卒業後につながる、と倉部さんは言います。

就職活動と同様、大学選びの際にも「大学研究(就活時の業界研究にあたります)」「自己分析・自己理解」をして、備えることが理想。自分にとって一番大切なものは何なのか。どんな自分になりたいのか。得意なこと、不得意なことは何なのか。それらを明確にして初めて、大学の提供する学びや環境を比較・検討し、より自分に合った大学を見つけられるのではないかと問いかけます。

倉部さんはこう話します。「大学中退の原因をさかのぼって調べていくと、高校1年次の文理選択あたりに行き着くことが珍しくありません。数学が苦手だから文系、保護者が勧めるから医療系、といった進路選択の結果が数年後の大学中退につながっています。つまり高校時代の進路学習や進学準備のあり方を改善することで、大学進学後の中退は減らせる可能性があります」

4年間または6年間、学ぶ意欲を失うことなく、充実した大学生活が送れるかどうか――。それは残念ながら、偏差値だけでは見えてこないようです。

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