学習と健康・成長

スクールカウンセラーの「頼り方」 子ども・保護者の悩みに寄り添い、解決へ橋渡し

2021.07.05

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夏野 かおる
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1995年度から、全国に配置され始めたスクールカウンセラー。臨床心理士や精神科医、大学教員などが任命され、教育心理学のプロフェッショナルとして、日々子ども・保護者の悩みに寄り添っています。しかし、その役割について詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。小中学校でスクールカウンセラーを務める公認心理師・ガイダンスカウンセラーの小島和子さんに、その業務内容や普段寄せられる悩みなどを聞きました。

Kaduko_Kojima

話を聞いた人

小島和子さん

公認心理師/ガイダンスカウンセラー/特別支援教育士

(こじま・かずこ) 小学校教員、大学事務局、建築設計事務所に勤務ののち、カウンセラーを目指す。埼玉県、さいたま市さわやか相談員、さいたま市特別支援教育相談センターを経て、私立大学付属中高で相談業務にあたる。現在はさいたま市、千葉県にて公立小中学校スクールカウンセラーを務める。

子どもはもちろん、保護者の悩み相談もOK

——成長過程の子ども・保護者にとって、学校での悩みを相談できるスクールカウンセラー(以下、SC)は、心強い存在です。そもそも、どのような資格を持つ人がSCを務めているのですか。

文部科学省は、SCの選考に当たり、以下の資格を求めています。

(1)公認心理師
(2)臨床心理士
(3)精神科医
(4)児童・生徒の臨床心理に関する専門的な知識及び経験を有し、学校教育法第1条に規定する大学の先生
(5)都道府県又は指定都市が認めた者。ガイダンスカウンセラーなど心理及び学校教育に関して専門的な知識・経験を有する者

これらの資格要件から分かるように、SCとして採用されるのは、児童・生徒の臨床心理に関する専門知識を有した上で、相談業務の経験を積んできたスペシャリストです。ただし、地域によっては未だ全校配置とならず、「必要があれば、近隣の学校へ相談してくださいね」という形を取っている場合があります。

また、公立学校の場合、会計年度任用職員(※)のため、週5日間フル稼働で相談業務に当たることはできません。したがって、どうしても緊急性を要する場合は、在籍校または各地域の教育委員会が設置している「教育相談室」に相談してもらうなど、他の方法をとっていただくこともあります。このあたりはお住まいの地域によりますので、ぜひ一度調べてみるとよいでしょう。

※1年以内の期間で任用し、専門的又は特定の分野の業務に従事する短時間勤務の職員

——SCは教育心理の専門家として、どのような業務に当たられているのですか。

SCの職務内容は、大きく分けて3つあります。1つ目は、児童・生徒へのカウンセリング。2つ目は、保護者に対する助言・援助。3つ目は、教職員に対する助言・コンサルテーションです。

まず、児童・生徒へのカウンセリングでは、子どもたちの悩み事を聞かせてもらい、解決に向けて一緒に考えていきます。たとえば、ある子が「お友達と喧嘩してしまった」と深く落ち込んでいたら、その子の気持ちを受け止めた上で、「どうなりたいか(仲良くなりたい、距離を置きたいなど)」を聞かせてもらい、「どう行動すれば良いか」を一緒に考えていくわけです。

次に、保護者への助言・援助は、保護者の知りたい情報を提供したり、育児相談に乗ったりする業務になります。寄せられる悩みの多くは「学習」と「生活」、「登校しぶり」についてのもの。学習進度が思わしくない、学校生活に馴染めていない、家庭のルールが守れない、学校に行きたくないといった相談が多いです。実は保護者からの相談は意外と多く、私の場合は相談者の6割ほどが保護者となっています。

最後に、教職員への助言・コンサルテーションは、悩みを抱える児童・生徒への対応について、専門家の立場で助言する、教職員と一緒に対策を考え協働する、他機関や医療へつなぐ業務です。たとえば、不登校のお子さんに、どのように対応すればよいか。また、そのお子さんが学校に来ようと考えたとき、クラスメイトはどう迎えればよいか。そのようなことを助言したり、求めがあれば、クラス、学年集会や全校集会でお話をしたりする仕事になります。

——非常に幅広いですね。逆に、SCが対応できないのはどんなことでしょうか。

お子さんへの対応に関して言えば、SCは医師ではないため、診断、投薬、治療などは行えません。

そして、保護者から受け付ける相談は、あくまでも育児と教育の範囲に限られます。保護者自身の心の問題や、家庭環境の問題にまで立ち入ることはできません。

例を示すと、「同居している祖父母が亡くなり、子どもが元気をなくしている」とか、「離婚後、子どもの情緒が不安定だ」など、子どもの心に関する相談はOK。そうではなく、「私たち夫婦は、離婚したほうがよいでしょうか?」などは対象外、という線引きになります。

また、SCはあくまでも学校に配置される者ですので、卒業後は継続して関わることができません。相談の継続が必要な場合は、地域の保健センターなどの相談機関、教育相談室を紹介しています。そのほか、市区町村によっては、家庭訪問の可否といったルールが細かく異なりますが、大枠としては、「学校内の」「児童・生徒に関する」「教育心理的な問題」に対応している、必要に応じて外部機関につなぎ連携すると考えていただければよいでしょう。

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