学習と健康・成長

ボーカロイド教育版がひらく、音楽教育の可能性 「詞先」で作曲を気軽なものに

2021.07.02

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夏野 かおる
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ヤマハが開発した、パソコンソフトで自由に歌声を作る音声合成システム「VOCALOID(ボーカロイド、ボカロ)」。米津玄師やAyase(YOASOBI)など、名だたるアーティストの可能性を拓いたことでも知られています。代表的なボーカル音源・キャラクターである「初音ミク」は最先端技術を使用したライブで、海外にも人気を広げています。そんなボカロですが、実は教育版もあります。歌が苦手な子でも作曲にチャレンジできるボカロの教育版について、ヤマハの塩谷友佳子さんに聞きました。

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話を聞いた人

塩谷 友佳子さん

ヤマハ株式会社 マーケティング統括部CX戦略部CXプロデュースグループ 主幹

(えんや・ゆかこ)奈良女子大学卒。ヤマハ音楽教室にて7歳から作曲を学ぶ。現在はヤマハ株式会社の「Smart Education System」担当として、学校向けのデジタル教材や音楽ツールの企画・開発に携わり、その一環として実際の学校現場での「歌づくり」授業を行うなどの活動をしている。

先生・子ども双方のハードルが作曲を「手の届かないもの」にする

——米津玄師さんやAyaseさん(YOASOBI)のように、ボーカロイドを活用した楽曲で頭角を表すアーティストもいる一方、ほとんどの人は作曲経験すらないように思います。作曲が身近なものにならないのは、なぜでしょうか。

小学校の学習指導要領では、全学年にわたり、「音楽づくりの技能を身に付ける」よう示されています。同じく中学校でも、「創作の技能を身に付ける」旨が盛り込まれており、本来であれば、小中学生全員が何らかの形で作曲に取り組むことになっています。

しかし、現場の先生にお話を伺うと、なかなか実施が難しい現実が見えてきました。そもそも楽譜が読めない児童・生徒が多いですし、即興的に演奏するには器楽のスキルも必要になる。だから、あまりにもハードルが高いのです。

また、小学校の場合は音楽専科の先生が配置されず、担任の先生が指導することもあるため、必ずしも音楽が得意な先生ばかりではありません。中学校になると音楽専科の先生が配置されるようになりますが、専門が声楽や器楽だと、やはり作曲は門外漢となりやすい。

子どもと先生、それぞれにハードルがあり、作曲は「手の届かないもの」と捉えられていることが明らかになったのです。

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インタビューに応じる塩谷さん

でも、美術の授業では上手・下手にかかわらず、オリジナルの絵を描きますよね。一方の音楽では、誰かが作った曲を題材に、歌い方を工夫するだけ。それって、美術でいえば「塗り絵」だけをしているのと同じではないでしょうか。

作曲にまつわるさまざまな課題をクリアして、もっと気軽に、音楽で表現する楽しみを感じて欲しい……。『ボーカロイド教育版Ⅱ for iPad』(以下、『教育版』)は、そんな思いで開発しました。

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