「探究」で高大接続

三田国際学園・大野智久さん「探究の過程を経験した生徒は急成長する」

2021.06.30

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中村 正史
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高大接続改革についての10年来の議論は、結局、大学入学共通テストを導入することで決着しました。しかし、高大接続の一番の問題点は、高校までの学びが、大学での学びにつながっていないことです。そもそも高校と大学は何を、どのように接続すべきなのでしょうか。探究の学びに取り組んでいるキーパーソンの一人、三田国際学園中学・高校の大野智久・学習進路指導部長に聞きました。(写真は、高2の「リベラルアーツ」で修学旅行の内容をグループに分かれて議論する生徒と大野教諭)

大野智久

話を聞いた人

大野智久さん

三田国際学園中学・高校 学習進路指導部長

(おおの・ともひさ)東京大学教養学部卒、同大学院総合文化研究科修士課程修了。東京都立高校教諭(理科)を経て、2019年度から三田国際学園教諭。2021年度からPBLの責任者。

授業をきちんと計画しても、いい学びは生まれない

――三田国際学園はPBL(課題解決型授業)に力を入れています。

中1から高2までの5年間をPBLで貫いています。中1で基礎トレーニングである「サイエンスリテラシー」「アカデミックリテラシー」を学び、中2、中3では週1回、基礎ゼミナールを行います。高校では、中学での学びを土台に、「リベラルアーツ」や「グローバルエデュケーション」などの科目でグループワーク中心の課題に取り組みます。普段の授業でも探究のサイクルを大事にしています。

2022年度から中学・高校で新コースを始めます。三本柱が、①Think&Act、②インターナショナル、③サイエンスで、このうち①が全体を貫くものです。考える力を大事にしようとずっと言ってきましたが、考えるだけでなく、行動しなければいけません。ThinkとActがサイクルになることが大事です。

――都立高校から移っていますが、都立高時代から、探究を実践していたのですか。

三田国際学園に来る前は都立国立(くにたち)高校に4年いました。担当の生物基礎は多くの高校では週2時間ですが、国立高校は週3時間あったので、1時間は課題研究をさせようと思いました。文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)は受講する生徒が限定されますが、裾野を広げたいと思い、8クラスの生徒全員に課題研究を生物基礎の授業で取り入れました。探究のプロセスを経験することで、ものの見方が変わり、非認知能力(意欲や創造性、コミュニケーションなどの能力)を獲得することを実感しました。

そこで気づいたのは、きちんと授業を計画して、いい教材を作れば、いい授業ができるというのは間違いで、それがいくらできても、いい学びは生まれないということです。

三田国際学園は「世界標準の教育」を目指している学校なので、都立高校の外で私自身が頑張ったほうが、都立の教育の変革にも役立てるのではないかと思い、19年にここに移りました。

――見学した高2の「リベラルアーツ」の授業には、教員5人が加わっていました。探究を進めるには、教員の力量が問われると思いますが、どのように取り組んでいますか。

教員研修に力を入れています。年3回、丸1日を研修に充てる日があり、探究とはどういうことか、授業デザインをどうするか、問いを授業にどう組み込むかなどを研修しています。

来年度から高校で実施される新学習指導要領では、「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」に名称が変わり、「古典探究」「日本史探究」「理数探究」などの科目が新設されます。「探究」がバズワードのようになっていて、各社がワークブックを出し、各学校の教員が与えられたプログラム通りにやろうとしていることに、探究が形骸化するのではないかと危惧しています。

三田国際学園の校舎
三田国際学園の校舎

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