一色清の「このニュースって何?」

夫婦別姓、最高裁認めず → 賛成派、反対派それぞれの理由を知ろう

2021.07.02

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一色 清
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日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は、違憲の判断が出た場合、提出を予定していた婚姻届を記者会見で披露する申立人の事実婚カップル〈右から2、3人目〉=2021年6月23日、東京・霞が関、関田航撮影)

同姓義務づける国珍しい

最高裁大法廷が6月23日、夫婦同姓を定めた民法と戸籍法の規定は憲法違反ではないという判断を下しました。夫婦別々の姓での婚姻は、今の法律の下では認められないということです。ただ、これは「夫婦同姓がいい」と判断したわけではありません。「どういう制度にするかは国会の判断だ」と国会にボールを投げ返したのです。

国会は、25年前に法制審議会から選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正を求められています。同姓にするか別姓にするかを結婚する本人たちが選べる制度です。しかし、いまだに反対論が強く、実現できていません。ただ、世論調査では選択的夫婦別姓に賛成する意見が反対をかなり上回っています。もしあなたが聞かれたら、どちらがいいと答えますか。答えるためにはまず、賛成の人たちはなぜ賛成するのか、反対の人たちはなぜ反対するのか、その理由を知っておく必要があります。

夫婦別姓問題の基礎知識から始めます。姓は名字のことです。氏も同じです。姓、名字、氏は歴史的には違う意味がありますが、今では同じように使われています。ここでは姓を使います。

すべての人が姓を名乗るようになったのは明治維新のあとです。当初は、夫婦別姓でした。1898(明治31)年に民法ができ、妻が夫の姓を名乗る夫婦同姓が規定されました。「妻は嫁として夫の家に入る」という家意識が醸成されました。戦後の民主化の流れの中で1947(昭和22)年に民法が改正され、夫婦どちらかの姓を名乗る夫婦同姓になり、今に至っています。ただ、実際には妻が夫の姓を名乗るケースが圧倒的に多く、厚生労働省の2015年の調査では96%にのぼっています。

日本のように夫婦同姓が法律で義務づけられている国は、世界的には珍しい存在です。上川陽子法務大臣は国会で「わが国以外には承知しておりません」と答弁しています。アメリカ、イギリス、ドイツ、ロシアなどは同姓か別姓かを選べるようになっています。フランス、韓国、中国などは原則的に別姓です。イタリアやトルコは夫婦の姓を合わせる結合姓となっています。こうした国々の中にはかつて夫婦同姓だった国もあります。ドイツなどがそうですが、1979年に国連で女子差別撤廃条約が採択され、夫婦同姓だった国も選択的別姓を導入する流れが強まり、ドイツもその流れに乗りました。

国連は日本の夫婦同姓の規定を女性に差別的だとして、2003年、09年、16年と3度、廃止を求める勧告を出しています。

夫婦同姓は戸籍法でも求められていますが、日本にある戸籍制度も世界ではとても珍しいものです。戸という小家族の単位で国が管理する制度は、ほかに中国と台湾にあるくらいと言われています。戦前に日本の植民地だった韓国にも残っていましたが、2007年に廃止されています。

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