「1人1台」の生かし方

ICT、大阪市の実証研究の現場から テスト採点や生活指導で効果 見えてきた課題も

2021.07.22

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小林 香織
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長引くコロナ禍や政府主導のGIGAスクール構想により、教育現場でもICT化が急速に進んでいます。大阪市の5校の小中学校では、2017年から3年間にわたり次世代の学校支援システムを導入し、実証研究を実施。その結果、ICTの活用が教育に良い影響を与えているとの声が多く寄せられました。学校向けのICTシステムを開発・販売する株式会社EDUCOMの取締役兼CSOの下村聡さんと、実証研究に参加した大阪市立大和川中学校の福島清文校長先生に「ICT活用の効果と課題」を伺いました。

効率化から質の向上へ。小中学校でのICT活用の現状

2020年度の文部科学省の調査によれば、教員の校務用パソコン整備率は公立学校全体で122.8%(令和2年3月時点)。教員1人に1台以上のパソコンが普及している状態がスタンダードとなっています。

ICTシステムの導入も進み、中でも「統合型校務支援システム」を整備している小学校は63.5%、中学校は63.2%、高校は78.8%。統合型校務支援システムとは、教務系(成績処理、出欠管理、時数管理等)、保健系(健康診断票、保健室来室管理等)、学籍系(指導要録等)が統合されたシステムを指します。

学校向けICTシステムを展開するEDUCOMは、約420自治体の8430校に同社の統合型校務支援システムを導入(2021年5月末時点)。これは全国の小中学校の約1/3にあたります。

このように統合型校務支援システムの普及率は向上しつつあるものの、EDUCOMでは教育の質を向上させるために、学習系システム(※)を連携した「学校支援システム」の活用を推奨。しかし、導入している小中学校はまだ少ないと同社取締役兼CSOの下村さんは指摘します。

※児童生徒の学習ドリルデータ、ワークシート・作品、アンケートなどのデータを取り扱うシステム

「これまでは『いかに校務の時間を減らすか』といった効率化に重点が置かれていたため、統合型校務支援システムの導入ばかりが進んでいます。しかし、GIGAスクール構想により生徒1人に1台のノートパソコンやタブレットが普及したため、今後は学習系システムを備えた『学校支援システム』の需要が伸びるのではと考えています」(下村さん)

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