「探究」で高大接続

横浜市立南高校・蛭田祥友さん「探究に熱心な生徒は進学実績もいい」

2021.07.06

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柿崎明子
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高大接続改革についての10年来の議論は、結局、大学入学共通テストを導入することで決着しました。しかし、高大接続の一番の問題点は、高校までの学びが、大学での学びにつながっていないことです。そもそも高校と大学は何を、どのように接続すべきなのでしょうか。企業などと連携して課題探究に取り組み、普段の授業でもグループワークなどを活発に行っている横浜市立南高校の蛭田祥友・国際企画部主任(英語科教諭)に聞きました。(写真は、「卒業生と話そう」のワークショップの一場面。「南高を紹介する雑誌の表紙を作ろう」をテーマに、卒業生の写真家と生徒たちがアイデアを出し合った=5月22日、同校提供)

蛭田祥友

話を聞いた人

蛭田祥友さん

横浜市立南高校 国際企画部主任

(ひるた・よしとも)横浜市立大学商学部卒、同大学文理学部に学士入学し2年で卒業。横浜市立戸塚高校、同鶴見工業高校、同みなと総合高校を経て、2019年から同南高校勤務。英語科教諭。

SGHの実践を課題探究に生かす

――2022度から高校に「総合的な探究の時間」が導入されるのに先駆けて、横浜市立南高校(通称「南高」〈なんこう〉)はカリキュラムに課題探究を取り入れていますが、どんなことをしていますか。

現在はSDGs(持続可能な開発目標)をテーマに行っています。南高は2015年度から文部科学省のスーパーグローバルハイスクール(SGH) に指定され、東南アジア研究をテーマに、ベトナムに行って現地調査するなどしてきました。5年間でSGHが終了し、翌20年度から横浜市のスーパーグローバルハイスクール(YSGH)に移行したことをきっかけに、横浜市が推進するSDGsをテーマにしました。

南高は12年に付属中学校が開設され、中高一貫校になりました。今年度からは中1から高3までの6学年でSDGsをテーマに課題探究に取り組みます。

高校では、1年生の4~6月を導入期間として、まず教員がSDGsの概要を話し、外部から講師を招いてSDGsについて講演してもらいます。7月からは「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」を行い、11月に「まとめ・発表」を行います。昨年は個人、あるいは4~5人の小グループで活動していましたが、今年はクラス単位でひとつのテーマを決めて取り組みます。

2年生はSDGsの課題を解決するための商品開発を5人のグループで行ったり、選抜チームがビジネスプランを企業に提案したりします。2年生や3年生の中には、学校の探究の授業とは別に、自分で独自に取り組んでいる生徒もいます。

――SDGsは今年で2年目ですが、昨年はどんな取り組みがありましたか。

例えば、パン作りが好きな生徒とヴィーガン(完全菜食主義者)に興味を持った生徒がグループを作り、ヴィーガンパンができないかと考えました。私が学校近くのパン屋を紹介し、実際に作って販売することになりました。SDGsの課題を解決する商品開発をしたグループは、日本政策金融公庫が主催する「高校生ビジネスプラン・グランプリ」にエントリーします。昨年は新型コロナウイルスのために大会が中止になりましたが、19年度まで2年連続で4000件前後の全国からの応募の中でベスト10に入っています。

――課題探究は指導する教員の力が問われます。どのように進めていますか。

基本的に全教員が探究の時間を担当しています。高校は5クラス、中学は4クラスで、1クラスをだいたい3人の教員が担当します。米国の先進的な学校の探究の取り組みを撮ったドキュメンタリー映画「Most Likely to Succeed」を視聴して探究学習への理解を深めたり、教員同士で情報交換したりしています。

ただ、教員はいつもの教科の授業の習慣で、学んでほしいことや見てほしい資料をプリントして配布するなど、つい手をかけてしまいがちです。教員は余分な指導をせず、生徒が自ら資料を調べて思考を深めていくのを待つ、我慢の姿勢が課題探究には必要です。南高の学校経営アドバイザーである高木展郎・横浜国立大学名誉教授は「教えない授業をしなさい」と言っています。

「緑豆で熱中症予防」を提案したグループが、ベトナム・ホーチミン市のスーパーで市場調査。現地の緑豆の値段を調べ、街頭インタビューした=2019年7月、横浜市立南高校提供
「緑豆で熱中症予防」を提案したグループが、ベトナム・ホーチミン市のスーパーで市場調査。現地の緑豆の値段を調べ、街頭インタビューした=2019年7月、横浜市立南高校提供

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