「1人1台」の生かし方

教えて!「GIGAスクール」 9問9答(前編) 端末、勉強以外に使えない? 壊したら弁償?

2021.07.07

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葉山 梢
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小中学生に「1人1台」のパソコンやタブレット端末を配備する、国のGIGAスクール構想が進められています。取り組みの進度や活用方法は自治体や学校によって違うため、子どもが持ち帰ってきた端末の使い方を見て不安を感じたり、そもそも一度も持ち帰ってこないので心配になったり、保護者が感じる疑問も子どもの通学先によって様々です。文部科学省や各地の教育委員会に、代表的な疑問をぶつけてみました。
※写真はロボット型教材を動かすため、タブレット端末にプログラムを打ち込む児童たち=2021年6月7日、福島県郡山市

持ち帰りは4割弱

Q1 わが子はパソコンやタブレットを持ち帰ってきたことがありません。ちゃんと使われているのでしょうか。

A1 GIGAスクール構想は当初、2023年度までの実現を目指していた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大でオンライン授業の環境を急いで整える必要が出てきたため、目標を20年度に前倒しした。文部科学省の調査によると、20年度末(今年3月末)までに、96.5%の自治体で「1人1台」のパソコンやタブレット端末の納品が完了した。

文科省は「自宅等での学習においてもICT(情報通信技術)を活用することは有効」として端末の持ち帰りを推奨している。ただし、取り組み方は自治体や学校によってばらつきがある。同省情報教育・外国語教育課の高橋洋平課長補佐は「ほとんどの学校は児童・生徒全員に端末を配るのは初めてで、多くはセキュリティーや個人情報の面の課題を見極めながら、準備の整った学校から持ち帰りを始めています」と話す。

学校法人先端教育機構の「月刊先端教育」編集部が全国の教育委員会に尋ねた結果でも、端末を学校外でも活用しているという自治体は、3月の時点で4割弱にとどまっている(下の円グラフ)。

教えて!「GIGAスクール」ここがわからない 9問9答(前編)

長野県では、昨年12月末時点では端末を持ち帰っている県内の市町村は20%に過ぎなかったが、5月末には「非常時に限らず持ち帰る」自治体が43.9%、「必要に応じて持ち帰る」自治体が52.5%となった。

県教委学びの改革支援課の曽根原好彦課長は「不適切なページを検索しないか、壊したときの弁償をどうするかなど様々な問題をクリアしないと学校は動けない。校長が集まる研修会などで先進的な事例を紹介し、専門家からも持ち帰りの意義を話してもらうなどしてきた効果が出てきたのではないか」とみる。

なお、高校はGIGAスクール構想による端末配備の対象になっていない。だが、文科省によると、42の都道府県が今年度末までに、公立高校でも1人1台の端末を配備する目標を掲げている。

Q2 家庭では学習以外に使ってもいいのでしょうか。

A2 端末について、文科省は「学習目的で配っているので、基本的にはゲーム・遊びに使うものではありません」(前出の文科省・高橋課長補佐)としている。自治体が保護者や児童生徒に向けて作った手引書を見ても、「あくまでも学習用です。学校での学習、家庭学習に使ってください」(熊本市)、「学習活動に関わること以外に使ってはいけません」(茨城県つくば市)など、学習用に限定した利用を求めているところが多い。

そんな中、前橋市は「自らの可能性を広げ、新たな価値を創り出す学び」と「学習」の意味を広く捉え、手引書では「好きな鉄道について調べよう」「作曲に挑戦しよう」などの例を挙げて活用を勧めている。市教委の担当者は「興味のある分野なら学習を深められる。子どもたちの可能性を広げるために、なるべく制限をかけずに使っていこうという方針です」と話す。

東京都世田谷区は児童生徒向けのQ&Aで、「授業のことだけしか使えませんか」という質問に対し、「自分の学びを進めたり生活を便利にしたりするためにも使えます」と答えている。区教委によると、学校の休み時間にプログラミングをする▽クラブ活動や委員会活動でアンケート機能を使ってみる▽家庭で興味のあることを調べたり、写真を撮ったりしてみる――といった使い方を想定しているという。担当者は「まずはどんどん使って慣れてほしい」と言う。

高橋課長補佐は「端末の使い方で疑問があれば、学校や教育委員会が作成するルールなどを参照し、不明な点は確認してほしい」と助言する。

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