ハイスクールラプソディー
教育系YouTuber・葉一さん 群馬県立館林高等学校 数学の先生との出会いで人生が一変
2021.07.15

教育系YouTuberの葉一さんは、無料で学べる授業動画が人気です。総再生回数は4億超え。教育に興味をもったきっかけは、高校時代の先生との出会いだったそうです。
はいち/1985年、福岡県生まれ。東京学芸大卒。群馬県高崎市在住。YouTubeチャンネル「とある男が授業をしてみた」が人気。著書「塾へ行かなくても成績が超アップ! 自宅学習の強化書」は16万部のベストセラー。7月に新刊「小学生の子がどんどん勉強するようになる親のすごい声かけ」が発売。
中学時代にいじめにあったそうですね。
父親の仕事の都合で、幼少期は九州で育ち、小学校から群馬に移りました。家のまわりには田んぼが広がり、近くには利根川が流れるのどかな場所でした。小学校時代は活発でしたが、中学生になるといじめが始まりました。始まりは女子たちの陰口でした。僕には障害がある妹がいます。両親は共働きで忙しく、週末は僕が妹の面倒を見ていたため、土日の部活に出ることができませんでした。僕にとってはふつうの日常ですが、同級生からはあまり理解が得られませんでした。「サボっている」と言われ、そこからどんどん悪口、陰口が広がっていってしまったように感じます。
精神的に追い込まれ、音楽室などに行く以外は教室から廊下に出ることができなくなりました。そんな状況でも僕は誰にも相談することができませんでした。友達はいませんでしたし、先生も信頼できなかった。両親とは仲が良かったのですが、心配をかけたくなかった。でも母はもしかしたら僕の異変を感じ取っていたのかもしれません。僕が学校を休んだ平日、妹が養護学校に通っているときに、母が何も聞かずに「今日はご飯食べに行こう」と連れ出してくれたことが何度もありました。

高校時代の先生に影響を受けたそうですね。
高校は男子校の群馬県立館林高校に進学しました。数学の先生との出会いが、それまでの僕を変えてくれました。先生は高校1年生の最初の授業で、生徒に向かって「俺はお前たちに好かれる気はないから」と言い放ちました。そのときは「ハズレ引いたな」と思いましたが、授業を受けると板書がすごくきれい。まずそれが衝撃でした。そして50分の授業のポイントが何かを的確に示してくれたので、家で復習するとちゃんと問題が解け、理解が深まるんです。授業中はとても怖いのですが、休み時間になると僕たちの話にもちゃんと耳を傾けてくれて、とてもフランクに話してくれました。面白い人だなと先生に興味がわき、真正面から向き合ってくれる人だと思えました。
僕はこの先生にあこがれ、教師になりたいと思うようになっていきました。東京学芸大に進学を決めたのも、先生が僕に校風が合っていると勧めてくれたからです。高校3年生の春の段階では学芸大に合格するには偏差値が20ぐらい足りませんでした。でも塾には通いませんでした。先生が塾に行かなくてもいいって言うんです。必要なら俺が教えるからって。学校で配られた教材で1年間、死に物狂いで勉強しました。