「1人1台」の生かし方

スマホの「中1デビュー」は注意 時間の区切り、習慣づけて 千葉大付属中学校長・藤川大祐さんに聞く

2021.07.16

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葉山 梢
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小中学生に「1人1台」のパソコンやタブレット端末を配備する国のGIGAスクール構想で、子どもたちとネットの世界の距離がさらに近づいています。トラブルを防ぎながらどのようにつき合えばいいのでしょうか。メディアリテラシー教育に詳しく、千葉大教育学部付属中学校長を務める藤川大祐・同大教授に聞きました。

藤川大祐

話を聞いた人

藤川大祐さん

千葉大付属中学校長

ふじかわ・だいすけ/東京大大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学。金城学院大助教授などを経て、2010年より千葉大教授(教育方法学、授業実践開発)。同大教育学部付属中学校長、教育学部副学部長を併任。メディアリテラシー教育、数学教育、キャリア教育、道徳教育など、教科・領域を超えた新しい授業実践や教材の開発に取り組む。「教師が知らない『子どものスマホ・SNS』新常識」(教育開発研究所)など著書多数。

学校も試行錯誤している

――GIGAスクール構想で何が変わるのでしょうか。

デジタルは時間、空間を超えられる便利なもので、ここ何十年かで社会は大きく変わりました。それなのに学校教育はあまり恩恵を受けることがなく、社会の変化との溝が大きかった。GIGAスクール構想で、小中学生が1人1台のパソコンやタブレット端末を使える環境になったのは、溝を埋める大きな一歩だと思います。

これからは学校の中で写真や動画を撮ることは当たり前になり、ネットで意見を共有することもしやすくなります。自分が学んできた学習履歴をデジタル上で記録して管理する「eポートフォリオ」の活用も進むでしょう。

――子どもや保護者はこれまで学校から、パソコンやスマートフォン、ゲームといったICT(情報通信技術)端末は「なるべく使わないで」と求められてきました。それが急に「どんどん使え」と言われると戸惑います。子どもがパソコンなどを学校から持ち帰ってきたら、親はどのように対応すればいいのでしょうか。

戸惑う気持ちはよくわかります。学校側も試行錯誤している段階です。「家でも活用しなきゃ」と前のめりになるのではなく、問題があれば先生に相談しながら、学校の指示の範囲で様子を見ながら使っていけばいいと思います。

そもそも毎日持ち帰る必要があるのか、私は疑問に思っています。家での作業が必要な時だけ持って帰ればいいのではないでしょうか。

私が校長になる前の話ですが、千葉大教育学部付属中学では実験措置として3年間、全員にタブレット端末を持たせたことがあります。ところが学校の机は小さく、気をつけていても落としてしまいます。毎日持ち帰ると、どうしても扱いが乱暴になります。故障対応がとても大変だったと聞いています。

校内で使うだけでもセッティングが大変なのに、持ち帰るとなるとネットワークの設定や、通信料金はどうするかといった問題も出てきます。個人の端末なら個人の責任で使えばいいのですが、学校が与えている端末でトラブルが起きたら、責任は誰が持つのでしょう。日本の教員が忙しいというのは周知の通りで、持ち帰りの準備が整うのはまだ先だという学校は多いと思います。

――親としては、子どもが不適切なサイトを見たり、勉強以外に使ったりしないかも心配です。

学校の端末は学習が目的なので、フィルタリングは厳しめになっているはずです。ただ、一般的なフィルタリングソフトだと政治や宗教に関することも引っかかってしまうので、たとえば修学旅行で訪ねる京都のお寺を調べようとしてもできないことがあります。必要に応じて、学校側が制限の範囲をカスタマイズする必要があります。

学校が配る端末は、ゲームのアプリはダウンロードできないようになっています。しかし、「スクラッチ」などのプログラミングソフトで子どもたちがゲームを作ることはあるので、学校の端末は勉強だけ、ゲームなどは個人の端末で、と完全に切り分けるのはなかなか困難です。

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