「1人1台」の生かし方

親は古い価値観捨てて NPO法人CANVAS理事長・石戸奈々子さんに聞くICTとの付き合い方

2021.07.19

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葉山 梢
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小中学生に「1人1台」のパソコンやタブレット端末を配備する国のGIGAスクール構想で、子どもにとってICT(情報通信技術)がより身近になります。家庭ではどのようにつき合っていけばいいのでしょうか。NPO法人CANVAS理事長の石戸奈々子・慶応大大学院教授に聞きました。

石戸奈々子

話を聞いた人

石戸奈々子さん

NPO法人CANVAS理事長

いしど・ななこ/東京大学工学部卒業後、マサチューセッツ工科大学メディアラボ客員研究員を経て、NPO法人CANVAS、株式会社デジタルえほん、一般社団法人超教育協会を設立、代表に就任。慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。「プログラミング教育ってなに?親が知りたい45のギモン」(ジャムハウス)など著書多数。

ソーシャルネイティブな子どもたち

――今の子どもたちをどのように見ていますか。

ワークショップやプログラミング大会で出会う子どもたちを見ていると、二つの意味で「ソーシャルネイティブ」だと感じます。一つはソーシャルメディアを使いこなしているということ、もう一つは社会的課題に関心があるということです。

生まれた時からデジタルにつながり、情報はすぐに調べられる。ICTリテラシーがきわめて高く、世界が近い。私たちの世代が子どもの頃は、何かを調べるとなると本でしたが、入手できる情報は雲泥の差があります。さらに、リアルに参画するすべも持っており、多様性、包摂性の感度が高いですね。

プログラミング大会でも、環境問題や交通渋滞など社会課題を解決するようなテーマを選んできます。ソーシャルメディアで発信したり、クラウドファンディングでお金を集めたり、自分たちの情報発信が社会を動かす力になることをよく知っています。コロナ禍でその機運は一層高まっていると感じます。これまでの当たり前が当たり前でない子どもたちから価値観の大変革が起きるのではないかと期待しています。

それなのに学校現場はずっと紙ばかりで、変わってきませんでした。コロナ禍の休校で、実現しておくべきことができていなかった、という現実に直面することになりました。

――GIGAスクール構想で学校も変わりますね。

CANVASは2005年から、1人1台パソコンを持ち、記憶・暗記型から思考・創造型の学びに変化する「デジタルランドセル構想」を訴えてきました。長い時間がかかりましたが、ようやくここまでたどり着いたかという思いです。

デジタル教科書やプログラミング教育も含め、制度は整いました。しかし、社会のデジタル化はとっくに終わっています。追いついてよしとするのではなく、ここから世界最先端の教育をどう作っていくかが本当の課題です。知識の暗記に力点を置いた教育から、創造していく学びに変えていく必要があります。そのきっかけになるのがテクノロジーです。紙をデジタルに置き換えるだけではなく、個別最適化した学びを実現していくことで、学びの内容や評価に多様な選択肢が生まれることを期待しています。

たとえば、AIを使ってカリキュラムを再編成していくなかで、教科の枠組みや学習指導要領を問い直す必要が出てくるでしょう。ブロックチェーン技術を使って学習履歴を記録していけば、一発勝負という入試の形が変わるかもしれません。

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