学習と健康・成長

給食メニュー考案・商店街のCM制作…… SDGsアワード受賞2校の取り組み

2021.08.25

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小林 香織
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小学校では、2020年度から学習指導要領に「持続可能な社会の創り手の育成」が明記され、SDGsを意識した授業のニーズが増加。SDGsとは、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す17項目の開発目標です。SDGsの達成に向けて優れた取り組みを行う企業・団体などを表彰する「ジャパンSDGsアワード」で、SDGsパートナーシップ賞(特別賞)を受賞した徳島県上板町立高志小学校と神奈川県川崎市立平間小学校に、取り組み内容と成果を聞きました。(写真は、地元・上板町でにんじんを収穫する3・4年生の様子=徳島県上板町立高志小学校提供)

規格外野菜や野菜くず活用で食品ロスを削減

第3回SDGsアワードで受賞した徳島県上板町立高志小学校では、2017年からSDGsにまつわる学習を本格化。地域の生産者、企業、行政などと連携して、「総合的な学習の時間」の授業を中心とした教科横断的カリキュラムを編成し、成果をあげています。同校の後藤紀子(ごとう のりこ)先生、中谷雪路(なかや ゆきじ)先生に、具体的な取り組みを聞きました。

「徳島県には、鳴門金時や養殖うなぎといった特産物に伝統産業の藍染など、地域の財産が多くあります。教職員の話し合いにより、これらをSDGsへつなげようと方針が固まり、各教員がカリキュラムに落とし込んでいきました」(中谷先生)

高志小学校では、3年生から6年生が学ぶ「総合的な学習の時間」の授業で、それぞれ探究課題を設定。3年生は「地域の一次産業」、4年生は「食の未来」、5年生は「エシカル消費」、6年生は「サスティナブルな生き方」の課題に沿って学びを深めます。

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規格外野菜の活用を通じて、食品ロスをなくす大切さを学ぶ(徳島県上板町立高志小学校提供)

「4年生の授業では、上板町の特産物であるにんじんをムダなく活用する方法を考えました。通常、形が悪いにんじんは廃棄されてしまいますが、それらを収穫して、にんじんジュースにして飲んだらすごくおいしいとわかったためです。給食センターの先生に相談し、給食の材料として使い切ることができました」(後藤先生)

6年生が学ぶ養豚体験では、食品ロスを減らすために「給食の調理で余る野菜くずを金時豚のエサにする」というアイディアが生まれました。

「規格外の野菜や野菜くずの活用推進に加え、野菜の切り方を変える、皮まで丸ごと使うなどの工夫により、給食の調理で出るゴミの量が524kg(2018年)から29kg(2019年)と大幅に減りました」(後藤先生)

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給食のメニューを考える授業の様子(徳島県上板町立高志小学校提供)

給食センターの先生と地元の栄養士さんにアドバイスをもらいながら「自分たちが食べたい給食メニューづくり」も、4・5・6年生でそれぞれ実施。鳴門金時を使ったポタージュスープ「栄養たっぷりサツマージュ」やミネストローネ「さつまローネ」などを考案しました。

「これらの取り組みを通じて、学校給食の児童1 人当たり 1 日平均の残食が、31 g(2018年)から19g(2019年)に削減されました。『残さず食べて食品ロスをなくそう』という意識が、児童に芽生えたようです」(後藤先生)

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