一色清の「このニュースって何?」

新しいエネルギー基本計画 → どんな電気の作り方がいいか考えよう

2021.07.30

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一色 清
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日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は、国内最大級のメガソーラー「瀬戸内Kirei太陽光発電所」=2018年11月15日、岡山県瀬戸内市、朝日新聞社機から、内田光撮影)

電源は大きく分けて3種類

経済産業省が、改定する「エネルギー基本計画」の素案を公表しました。2030年度の再生可能エネルギーの比率を19年度実績の約2倍になる「36~38%」とし、火力発電を19年度実績の76%から半分近い41%に減らすというものです。まだ正式の案ではありませんが、10月までに決まる正式案でも方向性は変わらないとみられています。

今、世界は地球温暖化を防ぐために二酸化炭素(CO2)の排出量を減らす「脱炭素社会」を目指して動き始めています。日本も2050年にはCO2などの温室効果ガスの排出を実質ゼロ(森林などの吸収分を差し引いてゼロ以下)にすると宣言しています。それを実現するために、日本全体のCO2排出量の4割を占める電力部門で電源構成を大きく変えようとしているのです。

ちょっと難しいニュースですので、理解するためにまず基礎知識として、電源にはどんなものがあり、そのいい点・悪い点は何かを知る必要があります。

電源の発電方法は大きく分けて三つあります。一つ目は火力です。石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料を燃やして水を沸かし、水蒸気を発生させ、その水蒸気の力でタービンの羽根を回し、タービンとつながっている発電機の中の磁石を回して電気を作ります。

火力発電のいい点は、電気を作る量を短時間で調節できることです。電気は需要より供給が少なくなると停電になって私たちの生活が混乱しますので、すぐに増やしたり減らしたりできることが必要です。火力は化石燃料の投入量を調節することでそれができます。また、原料が石炭の場合、コストもかなり安くなります。ただ、火力発電は炭素などでできている化石燃料を燃やすので大量のCO2が出ます。脱炭素社会の主役とするわけにはいきません。

二つ目は原子力です。これはウランの核分裂の熱エネルギーを利用して水を沸かし、水蒸気を発生させます。後の工程は火力発電と同じです。原子力は比較的コストが安く、CO2も出ません。ただ、電気を作る量を増やしたり減らしたりする調整が難しく、調整しやすい火力と組み合わせて使う必要があります。最大のデメリットは大事故の危険性をゼロにできないことです。東日本大震災の時に起こった福島第一原子力発電所事故では、大量の放射性物質が外に出て、周囲数十キロに及ぶ住民が避難しました。10年たった今でも自分の家に戻れない人がたくさんいます。国民感情からも原発に依存することはできないでしょう。

三つ目が再生可能エネルギーです。自然にあるものをそのまま利用するため、自然エネルギーとも言われます。水力、太陽光、風力の三つが、実用化されている主なものです。このうち水力は水が落ちる力でタービンの羽根を回し、つながっている発電機の磁石を回して発電するものです。風力は風の力で回した風車が発電機の磁石を回す力になって発電します。太陽光は発電の仕組みが違い、パネルが太陽の光を受けて太陽電池になって発電します。

再生可能エネルギーの最大のメリットはCO2などの温室効果ガスを出さないことです。太陽光発電はコストが最も安いという試算も出ています。ただ、デメリットもいくつかあります。太陽光や風力は天気次第で発電量が大きく変わります。太陽光発電は曇りや雨の日は発電量が減りますし、風力発電は風のない日は発電できません。このため再生可能エネルギーの割合が大きくなれば、電力会社は需要にこたえる調節が難しくなります。

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