学習と健康・成長

目先の勉強時間よりも大事なことが… 中学受験、保護者がすべき子どもの自律神経ケア

2021.07.30

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夏野 かおる
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コロナ禍で全国的な休校になった時期、「朝スッキリ起きられない」「集中力が続かない」などの症状を訴えるお子さんはいませんでしたか? そうした症状の原因の1つに、「自律神経の乱れ」が考えられます。内臓の働きを調節したり、幸せや愛情を感じる脳のホルモンの分泌に関わったりしている自律神経。中学受験においても大切なケアの1つとして、自律神経をうまく整える方法を専門家にうかがいます。

Naoko_Narita

話を聞いた人

成田 奈緒子さん

小児科医、文教大学教育学部教授

(なりた・なおこ)神戸大学医学部卒。小児科医、医学博士、文教大学教育学部教授、日本小児科学会認定小児科専門医・発達脳科学者、「子育て科学アクシス」代表。1994年から1998年まで米国セントルイス・ワシントン大学医学部留学。獨協医科大学越谷病院小児科助手、筑波大学基礎医学系講師を歴任したのち、小児科の臨床と基礎研究に従事。2005年より文教大学教育学部特別支援教育専修准教授、2009年より現職。『子どもにいいこと大全』(主婦の友社)をはじめ著書多数。

多忙な生活と便利なくらしが不調の原因に

——『子どもにいいこと大全』では、子どもの自律神経を整える62の習慣を紹介されていますね。この本を出版(監修)されたきっかけは。

私は今、大学の教員をしながら、予約外来で子どもたちの診察を行っています。そこで子どもたちの話を聞いてみると、「朝スッキリ起きられない」などの症状がきっかけとなり、不登校や留年につながっているケースが非常に多いことがわかりました。つまり、自律神経の働きが弱まった結果、日常生活に困難を来たしている子が、たくさんいるのではないかと感じたのです。

自律神経は体全体に張り巡らされ、恒常性(※)を司る、非常に重要な神経です。それゆえに、自律神経の働きが鈍くなると、睡眠や食欲、呼吸にまで影響が及びます。

※周囲の環境にかかわらず、体の状態が一定に保たれていること

自律神経は、生活を変えればいくらでも鍛え直せます。さらに言えば、乳幼児期に自律神経の土台をつくっておくのがベスト。そんな思いから、悩んでいる子ども本人はもちろん、これから子どもを育てる保護者に向けて制作したのが『子どもにいいこと大全』です。

——自律神経は目に見えない分、筋肉のように「鍛える」イメージが湧きづらいですが、生活次第で変わってくれるのですか。

ええ。何を隠そう、私自身、中学生の頃には自律神経トラブルに悩まされた身。けれども今は、生活を変えたことで、とても元気に日々を過ごしています。

自律神経が正しく働いていれば、朝はスムーズに起きられ、朝食もたくさん食べられます。夜になれば自然と眠くなり、質の良い睡眠が取れるため、スッキリとした状態で勉強や仕事に取り組めます。

ところが現代は、大人も子どもも頑張りすぎの人が多い。子どもを第一に考えるあまり、夜遅くまで働いたり、家事をしたりして、自律神経の自然なリズムがぼろぼろになっている保護者も珍しくありません。

しかも、豊かで便利な生活環境による影響も大きい。自律神経は、気温の変化や空腹、運動によって刺激されることで鍛えられます。常にクーラーの効いた室内にいると、熱中症対策にはよいかもしれませんが、汗の調節ができなくなり、外に出ると容易に倒れてしまいます。

本来、自律神経は、自然なリズムで生活しさえすれば勝手に整ってくれるもの。ところが、体の不調を無視して活動しすぎたり、環境の変化に乏しい環境で長期間過ごしたりすると、徐々に調整機能が弱り、体のあちこちに不調をきたします。ですから、できるだけ子どもが小さなうちから、親子ともに自律神経中心の生活を整えていくことが重要なのです。

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