学習と健康・成長

コロナ下での子ども同士の遊び「いっそ基準出して」「ママ友の関係性変わった」 保護者に聞く

2021.08.02

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大橋 礼
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12歳以上を対象にワクチン接種が進んでいるとはいえ、今なお続く新型コロナウイルス感染症の拡大。子どもたちをずっと家に留めておくわけにもいかない、かといって、家に大勢の友達を呼ぶのはどうかと思う……。では、何人までなら大丈夫なのか、外ならいいのかと、友達との関わり方で悩む保護者も少なくありません。年齢や住む場所もさまざまな保護者に、コロナ禍における子どもの遊び方、家庭でのルールなどについて伺いました。

遊ばせ方の基準がわからない! いっそ学校でルールを決めてほしい

「2020年4月に緊急事態宣言が初めて出た時は、周囲も息を潜めるように過ごしていました。学校も休みになり、電車に乗るのもスーパーへ行くのも怖かったので、子どももステイホームは当たり前と捉えていました」

最初にお話を伺ったのは埼玉県在住のTさん(46歳)。高校1年生の長男、小学校5年生の長女がいます。

「その頃は『休校中で友達と遊ぶなんてとんでもない』という雰囲気で統一されていたので、今思うとよかったんですよね。でも、緊急事態宣言が出たり、解除されたりして、その雰囲気が変わってきました。当初はあれほど大騒ぎで休校していたのに、今では感染者が出てもほんの数人が濃厚接触者とされ、消毒したら翌日から他の子たちは通学できてしまう。戸惑いは感じますね」

Tさん自身もだんだんと「そんなものかな」と思い始め、家族で外食をしたり、知り合いとお茶を飲んだりするようになっていました。

2021年の春、Tさんは簡単なテントを購入し、庭で試しに立ててみることに。その際、長女が最近とても仲良くしている子がいるから家に呼んでキャンプごっこをしたい、と言いました。

「そのときは、寝泊まりは無理だけど昼間ならいいよと答えました。ただし、マスクをし、飲み物は個別のペットボトルにして、お菓子も小分けの袋入りを選んで、『食べる時はマスクを外していいけど、おしゃべりはしない』と、子どもと約束をしました。その上で、『しつこく誘ってはダメだよ、お母さんに聞いてみてと言うんだよ』とも念押ししました」

数日後、長女から「ダメみたい」と聞いて、「あら残念ね」と気にしていなかったTさん。しかし、その後に行われた学校行事の際、Tさんは他のママたちから「いろいろ言われてるわよ。うるさい親も多いんだから、家に呼ぶのは気をつけないと」と耳打ちされビックリ。

どうやら誘ったお子さんの家は80代の祖母と同居中。当時はワクチン接種も終わっておらず、「キャンプごっこに誘うなんて非常識」「子どもにダメだよと言ったら、うちはおばあちゃんがいるせいで遊びにも行けないと泣かれた。おばあちゃんにも申し訳ないし、子どもも可愛そうだし、こっちの事情も知らないで軽々しく誘わないでほしいわ」とそのママが周辺に漏らしていたと知りました。

「その子のお母さんとは保護者会で会えば、ご挨拶くらいしますが、流石に家庭の事情までわかりません。相手がどう考えているか、いちいち事前に調べるわけにもいきません。無理矢理誘ったわけでもないので、そんな風に言われているなんて心外でした」

実は昨年の休校中、車の往来がほとんどない家の横道で、兄妹でバドミントンをしていたところ、通りがかりの人に「こんな時に外で遊ばせるなんて、親は何やってるんだ!」という怒鳴り声を聞いて、Tさんがあわてて子どもたちを呼び戻した経験がありました。

「誰も彼もが、行動を見張っているようで怖かったです。あれからだいぶ世間の雰囲気も変わってきたと思っていたのですが……」

最後に戸惑いの表情を隠さず、Tさんは問いかけてきました。

「いちいち相手の家族構成から考え方まで考慮しないとダメというなら、もう誰も誘えません。いっそ学校や自治体が、2人までならよい、外ならグループで遊んでもよいといった基準を出してくれたらいいのに」

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