学習と健康・成長

読書感想文、どうすればスラスラ書ける? 現役脚本家が教える「フレームワーク」の生かし方

2021.08.04

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夏野 かおる
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夏休みに入り、「ああ、また読書感想文の季節が来た」と頭を悩ませる保護者も少なくないでしょう。実際、「読書感想文は親の宿題」と言う人もいるほど苦手な子どもが多く、取り組ませるのに苦労している保護者は多いよう。どうすれば、子どもたちは読書感想文がスラスラと書けるようになるのでしょうか。「予約のとれない読書感想文講座」で知られる、脚本家・篠原明夫さんの提唱する、独自の「フレームワークメソッド」について聞きました。

Akio_Shinohara

話を聞いた人

篠原 明夫さん

演出家・脚本家・研修講師・講演家・シビルウェディングミニスター

(しのはら・あきお)20代よりプロデューサー、脚本家、演出家として小劇場を中心に活動を開始。俳優養成所にて講師を務めるほか、コミュニケーションスキル講師としても活躍する。脚本家としてのノウハウを活かした読書感想文講座は好評を博し、「予約が取れない」と話題に。2020年には、独自の「フレームワークメソッド」をまとめた『脚本家が教える読書感想文教室』(主婦の友社)を出版。

1週間ケンカを繰り返し、藁にもすがる思いで講座に

——篠原さんの読書感想文講座は、予約がなかなか取れないほど好評だそうですね。やはり、読書感想文にハードルの高さを感じ、困っている親子は多いのでしょうか?

ええ、保護者も子どもも、頭を悩ませています。よくあるのは、保護者が「早く書きなさい」と声を荒らげながら1週間くらいを過ごすものの、埒が明かないのでほとんど保護者が書いてしまう流れ。しかも、これを毎年繰り返すことも珍しくないそうです。そうなると、子ども側も「最後はパパ・ママが書いてくれるんでしょ」と考えてしまって、余計に手をつけなくなるのだと聞きます。

また、子どもが自力で完成させた場合も、内容を読んでみると、「ちょっとこれは」というものが多い。たとえば、原稿用紙3枚にわたってあらすじを書き、最後に「面白かったです」と付け足してあるパターン。保護者としては、もっとしっかりとした内容を書いてほしいと考えるものの、どう指導すればいいか分からない。このような事情から、私の講座を訪れるようです。

読書感想文_1
コロナ禍に行われた読書感想文教室。ソーシャルディスタンスを保って、開講し続けているそう

自由度とハードルの高さが表裏一体に

——そもそも読書感想文には、どのような教育的効果があると考えていますか。

小学校の学習指導要領には、国語科で育てるべき能力として、「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」という2つの軸が示されています。このうち「思考力、判断力、表現力等」は「A 話すこと」「B 書くこと」「C 読むこと」の3つに分けられ、読書感想文は主に「B 書くこと」の一環として捉えられているものと思います。

ただし、読書感想文が単元として設定されていないため、明確な指導法は普及していません。もちろん、熱心に取り組んでいる先生もいますが、「どう教えていいのか」と悩む先生も一定数おられる印象です。

実はこの状況にはメリットもあります。それは、ある程度自由に書けるため、成績評価から逃れられること。国語科の代表的な学習目的は、文章を正確に読み取り、意図を把握し、適切な答えを導くことです。この方針に立つと、回答として求められる表現はある程度、一意的となります。

一方、読書感想文では、通常の授業では評価されづらい、着眼点や表現の独創性を追求できる。しかも、原稿用紙3〜5枚という、限られた紙幅にまとめる能力も育つ。指導法が固まっていないからこそ、自由に表現する楽しみを発揮できる。それこそが読書感想文の魅力であり、教育的意義なのではないかと、個人的には考えています。

——表現の幅が認められている読書感想文は、自己表現の機会になる一方で、苦手な子も多いのが実情です。なぜ、子どもはそうした苦手意識を持つのでしょうか。

理由は大きく3つあります。具体的には、(1)道具の問題、(2)時期の問題、(3)保護者の関わり方の問題です。

まず(1)道具の問題ですが、一般的に読書感想文は、原稿用紙に鉛筆で書くケースが多い。「紙と鉛筆」スタイルは集中力が高まり、即興的な表現が生まれるなどのメリットがあります。しかし、子どもにとっては面倒くさく感じやすく、柔軟に構成を変えられないデメリットもあります。

たとえば、私が脚本を書く際は、まずクライマックスを書き、導入に立ち戻り、間の出来事を書く……というふうに、行ったり来たりして書くことが多い。でも、原稿用紙だと、こうした書き方が難しいのです。結果的に、保護者や子どもが、「初めからきっちりとした構成で書かなければ」と気負う原因になっているのではないでしょうか。

次に、(2)時期の問題。読書感想文はコンクールの応募時期と連動し、夏休みの宿題として出されることが多いですよね。「ゆっくりと時間をとって本を読み、感想文を書いてほしい」という意図かと思うのですが、これも子どもが気負う原因になる。というのも、作文は慣れの問題も大きいためです。個人的には、「一年に一度の大イベント」にするよりも、毎月書かせるくらいの方がむしろ気楽に取り組めるのではないか、と感じます。

最後は、(3)保護者が良かれと思って口を出しすぎる問題。子どもに作文嫌いな理由を聞いてみると、もっとも多く聞かれる悩みが「パパ・ママがうるさい」です。保護者からすれば、子どもの作文は気になる点だらけ。「原稿用紙の使い方」に照らして、「ここは○マス空けるんでしょ」「漢字が間違っているよ」「もう少しきれいな字で書きなさい」などと、ついつい口を出してしまいます。

すると、子どもは「どれだけ書いてもどうせ直される」と感じてしまう。せっかくのやる気も感想も引っ込んでしまい、何を書こうと思っていたのか、頭が真っ白になってしまいます。

ですから、私の講座では、保護者には退席してもらい、子ども一人で取り組んでもらいます。保護者が隣にいると思うと、子どももついつい甘えてしまい、自分で考える力が伸びません。保護者の皆さんには、たとえ拙い表現が気になっても、口を出すのはグッとこらえて、距離をとってほしいです。

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