一色清の「このニュースって何?」

対決型競技の勝者の決め方 → オリンピックを見ながら「頭の体操」

2021.08.06

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一色 清
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日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は、東京オリンピック・野球の米国―日本戦で、十回裏、サヨナラの適時打を放ち、祝福される甲斐拓也〈中央〉=2021年8月2日、横浜スタジアム、杉本康弘撮影)

トーナメントの試合数を導く「公式」

2020東京オリンピックが終盤を迎えています。連日テレビをつけっぱなしにして観戦している人もいるのではないでしょうか。オリンピックが終わると翌日から全国高校野球選手権大会が開かれます。こちらもテレビで観戦する人は多いでしょう。

スポーツには、陸上や水泳のようにタイムを競う競技、体操やアーティスティックスイミングのように審査員の採点で競う競技、野球やサッカーのように対決して勝敗を決める競技などがあります。対決型競技の場合、全体の順位を決める主な方法として、トーナメント形式、リーグ戦形式、両方を組み合わせた形式の三つがあります。ここでは、この対決型競技の勝者の決め方をテーマに頭の体操をしてみたいと思います。

まず、トーナメント形式ですが、これは勝ち残った最後の1チームが優勝する形式です。勝ったチームが残り、残ったチーム同士が試合をし、それを繰り返して最後に残った2チームが対決して勝ったチームが優勝、つまり1位になるわけです。負ければそこで終わりの一発勝負になります。

ただ、トーナメント形式は、少々不公平があるのがふつうです。1回戦から試合をするチームと2回戦から試合をするチームに分かれがちです。すべてのチームがもれなく1回戦から出場するためには、参加チームの数が限られるためです。参加チーム数が2、4、8、16、32、64、128……という場合に限って、もれなく1回戦から試合をすることになります。つまり、2×2、2×2×2、2×2×2×2……という具合に2の2乗、3乗、4乗……となる数字です。逆にいうと、2で割り続ければ最後に1になる数字です。この数字の参加チーム数でなければ、2回戦から出場するチームが必ず生まれます。

全国高校野球選手権大会はとても規模の大きいトーナメント形式の大会です。今年の大会には全国47都道府県の3603チームが参加しました。この地方大会で優勝した49チーム(北海道と東京はそれぞれ地区が二つに分かれている)が甲子園大会に進みました。ここで問題です。では47都道府県の地方大会から甲子園大会の決勝までの試合数はいくつでしょう。再試合や参加辞退は考えないことにします。

47都道府県のトーナメント表をひとつずつ数えて、それに甲子園大会のトーナメント表を数えて足すとわかるでしょうが、そんな大変なことをしなくてもすぐにわかります。答えは3602試合です。1試合で必ず1チームが負けます。試合数と負けるチーム数は同じになります。最後まで負けずに終わるのは1チームだけです。つまり、(参加チーム数-1)が負けるチーム数であり、試合数になります。3位決定戦がある場合はここに1足すので、試合数と参加チーム数は同じになりますが、高校野球では3位決定戦はないので、ここの答えは3603-1の3602試合になります。算数の問題というより、頭を柔らかくする問題としてよく知られています。

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