海外大進学という選択

「世界」は自己分析の先に 新潟県立国際情報高校 海外大学進学コースの学びとは

2021.08.10

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山下 知子
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新潟県立国際情報高校(南魚沼市)には2013年度から海外大学進学コースが設けられています。16年3月に卒業した1期生から6期生までの計28人が海外大へ進学しており、今春卒業の6期生は全7人が海外大進学を果たしました。全国募集をし、寮を整備しているため、県外生も入学できます。どんな授業を展開しているのでしょうか?(写真は、海外大学進学コースの授業「Global StudiesⅡ」で、英語で話し合う生徒たち=2021年7月7日、新潟県南魚沼市)

県主導、東日本では初めて

7月上旬、校舎1階の教室からは、なめらかな英語が聞こえてきた。海外大学進学コースの生徒が学ぶ学校設定科目「Global StudiesⅡ」の授業。海外大学進学コース3年の生徒3人が、これまでの自分を振り返る英文をまとめ、発表した。

授業は全て英語。丸山翔佳(しょうか)さんは、日本と中国の双方にルーツがある自身のバックグラウンドについて話した。藤巻プリスティン晶麗(あかり)さんが「他者の発言をいくつか引用しているので、誰が誰に向かって発した発言なのかが不明瞭な箇所がある」と指摘。広河麻子教諭とALT(外国語指導助手)のクレア・ナカナイナイさんも“I agree.”とうなずきながら助言する。丸山さんは「話の伏線として盛り込んだ部分が、聞き手にとってはつながりが不明瞭だったり、自分は不要かなと思った箇所が良かったり。自分が体験した経験を客観視し、体験していない人にどのように伝えたらいいかを意識することの重要性を知った」と言う。丸山さんは、アドバイスをくれた藤巻さんに“Thank you so much.”と言って笑顔をみせた。

海外大学進学コースの授業「Global StudiesⅡ」で、英語で話し合う生徒たち=2021年7月7日、新潟県南魚沼市
海外大学進学コースの授業「Global StudiesⅡ」で、英語で話し合う生徒たち=2021年7月7日、新潟県南魚沼市

新潟県では、2010年に「魅力ある高校づくりプロジェクト」を始め、特色ある学科・コースの設置を進めてきた。その一つが、国際情報高校の海外大学進学コース。東日本の公立高校としては初めての取り組みだという。海外大学進学コース課主任の丸山智恵子教諭は「生徒には、活躍できる場所が地球上にたくさんあることを知ってほしい。そのための手段として英語があり、海外大という進路選択があると考えている」と話す。

海外大進学について詳しく解説した、海外大学進学コースの学校パンフレット「KJ Study Abroad Course(2021)」
海外大進学について詳しく解説した、海外大学進学コースの学校パンフレット「KJ Study Abroad Course(2021)」

3年の冨永千尋さんは、1年の時に海外大進学について知り、「そんな選択肢があるんだ」と驚いた。実際に進学した先輩たちの話を聞いたり、大学について調べたりするにつれ、柔軟性あるカリキュラムや広大なキャンパスでの大学生活に魅力を感じ、海外大を目指すことに決めたという。

「英語は中学から。はじめは、海外大学進学コースのディスカッションの授業に困惑して、何もかもが大変だった」と冨永さん。いまは、クラスメートと先生と対等に意見を共有しあえるのが楽しいという。「タイムリーなトピックや、意見が割れるトピックについて自分の考えを持つ力、自発的に意見を他人と共有する積極性、みんながそれぞれ異なる価値観を持っていることに気づき、その意見を尊重すること。黒板に書かれたポイントをノートに書いていく学びとは違って、すぐに習得できるものではない。何度もディスカッションをしたりリサーチをしたりする授業は、これからにつながる学びになっていると思う」と話す。

米国の大学入試では、出願の際にエッセーを出すことが求められる。多くは、アイデンティティーや、今の自分を形成した出来事など、「自分」をベースについて書くことが求められる。冨永さんがいま頑張っていることは自己分析。「いままで自分とは何者で、どんな経験をしてきたか考えたことがなかった。私にとって自己分析は新しく、難しい、大切な経験」

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