海外大進学という選択

国際バカロレア認定校の学びとは? 筑波大附属坂戸高の授業をのぞいてみた

2021.08.18

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市川 理香
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埼玉県で初めて国際バカロレア(IB)認定校となった筑波大学附属坂戸高校は、2018年度の入学生から IBプログラムを導入し、この3月に1期生が卒業しました。どのような授業を行っているのか、同校国際バカロレア部主任の本弓康之教諭に聞きました。(写真は、3年生の「理科 生物〈SL=スタンダードレベル〉」の授業。新型コロナウイルスを題材に、サイエンスリテラシーについて議論していた)

本弓康之

話を聞いた人

本弓康之さん

筑波大学附属坂戸高等学校 国際バカロレア部主任

(ほんきゅう・やすゆき)筑波大学自然学類卒、同大大学院理工学研究科修士課程修了。2004年から筑波大学附属坂戸高等学校勤務。理科(物理・地学)教諭。18年から国際バカロレア部主任。TOK(知の理論)の授業を担当。

高校入試段階で10人ほどを選抜

――筑波大学附属坂戸高校が、IBプログラムを導入したのは3年前ですね。この学校で始まった経緯を教えてください。

本校は、2017年2月に埼玉県で初めて国際バカロレア(IB)認定校となり、18年4月入学生から IBのディプロマプログラム(DP)を導入しました。今年3月に、1期生を送り出したばかりです。筑波大学が国際バカロレアを推進することになり、本校に声がかかったのですが、キャリア教育や生徒の主体的な学習を重視する総合学科の高校なので、全人教育、生涯学習を旨とするIBとの親和性が高かったのは大きいと思います。

――3年間の組み立ては、どうなっているのでしょうか。

本校のIBコース生は、入試段階で毎年10人程度を選抜しています。グローバルリーダー育成を目指すSGクラスに所属し、日本の高校卒業資格とIBのDP取得を目指します。DPは高校2〜3年生を対象としたプログラムなので、1年生は主に日本の学習指導要領に沿って学び、2年生からDP科目を中心とした学習に入っていきます。

――DPに入る前の1年生に大切なのは、どのようなことでしょうか。

1年生に大切なのは「マインドセット」です。同じSGクラスでも授業は IB生のみ取り出して行い、他のSGクラス生とは授業の内容も忙しさも、アセスメント(評価)も一部異なります。

日本の高校のカリキュラムですが、ディスカッションを多くしたり探究型にしたりして、 IBの学び方に対応できるスキルを身につけます。一斉授業や与えられた「宿題」をこなす従来型の学習に慣れたままIBコースに入学してくると、往々にしてテスト範囲はどこからなのかを聞いてきたり、「あなたはどう思いますか」という問いかけに答えられなかったりします。そういう学び方が染み込んでいる生徒のマインドセットをするのです。例えば本校では、2年生から始まるDPのコア科目、TOK(知の理論)のトレーニングとしてpre TOKを1年生に入れています。歴史だと、年号とできごとを知識として覚えている生徒が、知識の背景やつながりを見つけ出すのがIBの学びです。このような学びのスキルを身につけて、2年生からのIBの DP科目に備えます。

なかなかマインドセットできない生徒もいます。そういう生徒は、自分でやらなくてはいけないことが多いので苦労します。例えば個人研究や探究、エッセー、課題論文のテーマは、指示されるのではなく自分で見つけるもので、アドバイスはできますが教師は手伝えません。大学生でも卒業論文のテーマを見つけるのは大変だと思いますが、IBではそれも評価の一つなので、自分で見つけなければなりません。

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