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青学初等部×CA Tech Kids 思考も技術も身につけるプログラミング授業とは

2021.08.13

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夏野 かおる
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大切なのは機会づくり。学んだ結果、選ばない子がいてもいい

——ハイレベルなカリキュラムとなると、指導者の不足が問題になりますが、CA Tech Kidsからの講師派遣などはあるのでしょうか。

井村:いえ。実際の指導は、青学初等部の教員2名が務めます。

青学初等部には40年以上も続く小学校初の「アマチュア無線クラブ」があり、10年ほど前から、ロボット制作やプログラミングに取り組んできました。そのため、教員側にも一定のノウハウが蓄積されていました。今回、本格的なプログラミング教育に取り組めたのは、そうした影響も大きいかもしれません。

——御校が積み重ねられてきた土壌があってこそ実現したのですね。今後、公立学校への展開もありえるのでしょうか。

上野:今回の事例をただちに公立小学校に展開するイメージは持っていません。今回の取り組みは、3年間で45コマという贅沢な時間の使い方をさせてもらうからこそ可能な部分があり、それをそのまま他の学校に持ち込むことは現実的ではないと思います。ただ、逆に言えば、時間さえ確保してもらえれば、公立小学校でも十分実施できる内容なのではないか、とも考えています。

プログラミング教育に限らず、学校教育を変化させようとすると、必ず「〇〇がないから無理だ」という話が出てきます。しかし、私たちとしては、「できない」で思考停止せず、可能なところは解決していきたい。今回の提携で良い結果が出せれば、「条件がそろえば学校の中でも本格的なプログラミング教育を実施できる」一つの事例となります。もしも、次の学習指導要領改定でプログラミングを小学校で正式に教科にするような話が上がったら、ぜひ今回の事例を参考にしてもらいたいと考えています。

井村:今回は民間から学校へ導入となりましたが、逆に学校の授業でプログラミングに興味を持った児童が、よりハイレベルな民間スクールに活躍の場を移しても構わないと考えています。今でも、GIGAスクール用の端末で外部のオンライン授業を受けたい、プログラミングスクールに持っていきたいといった相談は多く寄せられています。小学校という場で平等にプログラミングに取り組むことで、興味を持つ子が増えてくれたら嬉しいですね。

中村:私たちは児童全員がプログラマーになってほしい、とはまったく考えていません。重要なのは、選択肢を持てること。学校で基本的なことを学んだ上で、「自分は違う道を行こう」と考える子がいても、まったく構わないんです。それを考えられるように、まず選択肢を増やすきっかけを学校が提供してあげたいと考えています。

青学初等部_7
青学初等部ではコンピューター以外の教科でも児童1人につき1台の端末を活用し、授業を実施している

上野:プログラミングを含め、学ぶということは、お道具箱のツールを増やすこと。箱の中にハンマーしかなければ、どんな工作にもハンマーで対応しなければなりません。そこに、キリやノコギリが入っていれば、よりよい工作ができるかもしれない。

井村:私自身、小学校時代にパソコンに触れたことから、現在の仕事につながっている経緯があります。ちょうどビジネス向けのパソコンが出始めた時代で、親よりもずっと早く使いこなせるようになりました。

本校部長の中村が話すように、全員がプログラマーやITの道に進む必要はありません。初等教育の我々のミッションは、子どもたちに将来選択する際のヒントになるような、いろいろな種類の機会をたくさん用意することだと考えています。つまり、触れる機会をつくることによって、興味・関心を持つ子が出てくるかもしれません。民間スクールと同水準のカリキュラムを導入するのは非常に珍しい取り組みですが、どのような結果になるのか、今から楽しみに思っています。

(編集:野阪拓海/ノオト)

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