海外大進学という選択

海外大合格者が200人超、広尾学園中学高校「地球上のどこで生きるか、選択肢増やす」

2021.08.11

author
山下 知子
Main Image

海外の大学に進学する高校生が珍しくなくなってきました。今春、延べ222人(6月現在)の海外大合格者を出したのは、私立中高一貫校の広尾学園中学高校(東京)。2020年の合格者数79人に比べ、2.8倍と大幅に増えました。増加の背景には、「グローバルに評価される学校」を目指して同校が進めてきた、さまざまな活動・行動の積み重ねがあるようです。担当の植松久恵教諭に聞きました。(グラフは、広尾学園高校の海外大合格者数)

植松久恵

話を聞いた人

植松久恵さん

広尾学園中学高校インターナショナルコース統括長

(うえまつ・ひさえ) 2009年に社会人募集で広尾学園中学高校へ。英語教諭。2012年から現職。

中学から英語スタートでもOK!

――今年の合格者はのべ222人。昨年に比べて大幅に伸びました。

今までやってきたことが実を結んだ印象です。2017年卒業生の海外大の合格者は延べ18人。それが18年に82人、19年74人、20年79人で、21年は222人に。5年も経たず、10倍以上増えました。生徒が本当によく頑張りました。多くが米国やカナダ、英国の大学。今春は米プリンストン大のほか、米カリフォルニア大バークリー校などにも合格を果たしました。

今春の卒業生が中1だった2015年度に米国の大学を訪れるツアーが始まりました。後述しますが、在学中に世界の175の大学が集まる「カレッジフェア」が校内で開催されたり、米国の大学の教養レベルの授業が受けられ、入試にも有利になる「アドバンスト・プレイスメント」が始まったりしたことも大きかったと思います。生徒の努力にプラスして、環境が整い始めたことが大きいのではと思っています。

広尾学園中学高校=東京都港区
広尾学園中学高校=東京都港区

――インターナショナルコースについて教えてください。

1学年の生徒数は約270人。このうち、インターナショナルコースの生徒が40人程度で、海外大進学の中心です。

インターナショナルコースは、前身の順心女子高が共学化し、広尾学園中学高校となった07年にできました。中学段階では「AG(Advanced Group)」と「SG(Standard Group)」にわかれ、AGは帰国生やインターナショナルスクール出身者など、すでに英語力のある生徒のためのコース、SGはこれから語学力をつけていくコースで、SGの生徒の多くは中学から本格的に英語を学びます。

「中学入学時に英語がゼロでも、海外に行きたい夢をかなえられる」と考えてコースを作っています。SGコースの英語はbe動詞からのスタートで、1学期の中間テストまでは他のコースと同じ進度で進めます。中間テスト後から進度を速め、中2の終わりまでに中学の学習内容は終わるように設計しています。週3回、50分の英会話の授業があり、毎朝10分間の「0時間目」も設けて英語で話す時間を作っています。SGの生徒たちは、中学受験でとても頑張ってきた生徒たち。努力もでき、勉強の勘どころもわかっているので、英語力が高いAGの生徒といい刺激を互いに与え合っていると感じます。

高校からはAGのみのコースとなります。中学は日本語の教科書を英訳したものを使っています。高校からは、海外で出版されている教科書も使用しています。

インターナショナルコースの高校生が使っているテキスト。日本の教科書と比べ、大きく分厚い=2021年5月、山下知子撮影
インターナショナルコースの高校生が使っているテキスト。日本の教科書と比べ、大きく分厚い=2021年5月、山下知子撮影

高校の授業はレベルも高く、課題もとても多くあります。課題は「この文章を読んでリポートを書く」「この文章を読んで次の授業で議論する」といった、正解のない問題。タフな内容で、生徒たちは本当によく頑張っています。いずれ国外に出た時に、まず求められるのは現地での生活に慣れること。それだけでも大変なのに、アカデミックなレベルについていけないとメンタルがやられてしまう。「海外大に進学した最初の半年は大丈夫」な力をつけて送り出すことを目標にしています。

新着記事