海外大進学という選択

灘中高→東大(半年)→米ウェズリアン大 石田智識さん「『とりあえず』を問い直す」

2021.08.13

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山下 知子
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英語の土台は国語力

米国の大学に行こうと思ったものの、その高い学費が払えるのか、という現実的な問題がありました。両親には「未知の選択をわざわざすることはない」とも言われました。でも僕も譲れない。どうするのか、なかなか決まらない時間が続きました。

動いたのは、高2の2月です。「とりあえず勉強していい大学に行けばいい、という日本の価値観を問い直すために、米国の教育を体験して、日本の教育を客観的に見つめたい」といったようなことを両親に話して説得しました。ちょうど柳井正財団から奨学金がもらえることにもなり、日本の大学も受験することを条件に親がOKしてくれました。ちなみに、現在は生活費などを含めて年800万円かかりますが、財団の奨学金でやれています。親が出しているのは、往復の飛行機代ぐらいでしょうか。

両親からOKが出て、そこから本格的に準備を始めました。米国の大学の受験準備と、日本の大学の試験勉強の両立は、思った以上にハード。いかに効率よく勉強するかを考えました。灘高の同級生たちは、余裕で東大に合格するレベルまで仕上げていくのですが、僕は合格最低点+20点を目指して勉強し、あとは米国の大学の対策にあてました。

東大は半年、米ウェズリアン大へ 「中1の僕では考えられない進路」 灘高出身の石田智識さん

1日の時間でいうと、放課後は時間を計ってSAT(米国の大学入学者向けの学力テスト)対策をし、夕飯を食べてからは日本の大学向けの勉強をしました。SATは、国語(英語)800点、数学800点の計1600点。数学はなんとかなりますが、英語はいってみれば日本の高校生向けに作った大学入学共通テストの国語を解くようなもの。英語の単語力を上げ、ひたすら問題を解きまくりました。ただ「内容を理解して、正解を選んでいく」のは日本の国語と一緒。土台は国語の力だと思います。

入試に必要なTOEFLとエッセーは、専門塾でみてもらいました。高3の12月は1カ月間、ひたすらエッセーを書いて添削してもらい、書き直していましたね。エッセーは、教育のことを書きました。「とりあえず勉強して、周囲の期待や流れに乗って進路を決めていく」ことに違和感を持ったこと、こうした風潮はどうしたら変えられるのか、といったことを書きました。実際、医学部を目指す同級生から「俺ってほんまに医者になりたいんか?」といった声を聞いたことがあります。理系と文系に分けることにもモヤモヤしており、そうした自分の経験に引きつけて書きました。

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