学習と健康・成長
算数・数学で養う「答えのない課題に立ち向かう力」 思考力を伸ばすポイントは
2021.08.26

答えのない課題に立ち向かう力――それが「思考力」
脱詰め込み教育の流れを受け、1998年に算数・数学思考力検定がスタート。同検定を運営するiML国際算数・数学能力検定協会の本間紀洋さんと大久保智代さんは、「PISA調査でも浮き彫りになった数学的リテラシーや読解力を問う問題を盛り込んだ検定を目指した」と話します。

思考力を問う問題は正解にたどりつくアプローチがいくつもあり、正確にその力を測るのは容易ではありません。そこで算数・数学思考力検定では、「思考力」を「答えのない課題に立ち向かう力」と定義。検定内容は、問題の難易度別で10級(小学1~2年生程度)から準2級(高校1年生程度)までの級があります。

「思考力を構成する観点は情報・条件を使いこなす力、筋道を立てて考える力、ものの形を認識・想像する力の3つで、それらを育もうというのが狙いです。検定の問題は学習塾でも活用されています。生徒からは『解くのが楽しいから、どんどん解き進めちゃう』『学校の授業にはない問題がたくさん出てくる』という声が挙がっています」
「これは私たちにとってうれしい反応です。答えを導き出せた時の喜び、次に挑戦してみたいというモチベーション。それが思考力につながると考えているからです」(以上、大久保さん)
検定は思考のプロセスを見るため、記述問題が必ず盛り込まれています。これは自分の力で問題を解くだけではなく、解決へのアプローチを的確に伝え、表現していく力を養うためです。
「各国は先の見えない時代に生きる子どもたちを、どう育てるか議論し続けています。私は、その柱が思考力だと考えています。粘り強く考え抜く力は、人間という存在の基盤です。そして、最後の拠りどころになるのは、子どもの頃に身につけた思考の習慣にほかなりません。幅広くたくましく、そしてやわらかく、思考力を身につけていってほしいですね」(清水教授)