一色清の「このニュースって何?」

アフガニスタン政権崩壊 → 理解に必要な三つのこと

2021.08.20

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一色 清
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日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は、アフガニスタンの首都カブールの国際空港で、米軍機に群がる人々。機体にしがみつく人も多く見られた=衛星放送局アルジャジーラがツイッターに投稿した動画から)

米同時多発テロとの関係

アフガニスタンの政権が崩壊し、反政府勢力だったタリバンが政権を握りました。アメリカがアフガニスタンを攻撃し、タリバン政権を崩壊させてから20年。アメリカ軍が撤退を始めるとともに攻勢を強めたタリバンがあっという間に政権に返り咲きました。中央アジアの貧しい国の政変ですが、世界は大きな衝撃をもって受け止めています。それはなぜなのか。理解するために必要な三つのことを解説します。

まず一つ目は、アメリカ同時多発テロです。2001年9月11日朝、アメリカ上空で4機の旅客機がハイジャックされました。そして、ハイジャック犯に操縦された旅客機のうち、2機がニューヨークにある110階建ての世界貿易センタービル2棟にそれぞれ突っ込み、ビルは完全に崩れ落ちました。1機はワシントンにある国防総省本庁舎に突っ込み、一部を破壊しました。もう1機は乗員乗客が抵抗したため、ペンシルベニア州の野原に墜落しました。この同時多発テロにより3千人を超える人が亡くなりました。9月11日に起こったことから、9.11テロとも呼ばれます。

この前代未聞のテロにアメリカ国民は恐怖にふるえるとともに怒りました。犯人たちはアメリカを敵視する国際テロ組織アルカイダのメンバーとわかり、アメリカのブッシュ大統領(当時)は「テロとの新しい戦争」として、アルカイダの指導者オサマ・ビンラディンをかくまっているとみられていたアフガニスタンを翌10月に攻撃し始めました。政権を担っていたタリバンは首都カブールを追われ、アメリカが打ち立てた新政府ができました。しかし、タリバンは消えてなくなったわけではなく、国内外で一定の勢力を保ち、駐留するアメリカ軍や政府軍との戦いは20年にわたって続きました。

二つ目は、タリバンとは何かということです。1979年、ソ連(今のロシアなど)がアフガニスタンに侵攻しました。10年後にソ連は撤退しましたが、アフガニスタンでは内戦が始まりました。その混乱の中の94年にイスラム神学校で学ぶ学生を中心に組織されたのが、イスラム原理主義グループのタリバンです。96年には全土を支配し、2001年にアメリカに追われるまで、アフガニスタンを治めました。

もともとのイスラムの教えであるイスラム法に基づく国づくりを目指したため、女性にはブルカとよばれる顔を隠す着衣を身につけさせ、教育や就労を制限しました。また、音楽を楽しむことを禁じました。偶像崇拝も禁じ、アフガニスタン中部のバーミヤンにある貴重な仏教遺跡を爆破したこともありました。支配の方法は暴力や厳罰に頼るもので、選挙などの民主主義は否定していました。

こうしたタリバンの考え方は、20年を経て変化しているのではないかという見方もあります。指導層も世代交代し、国際社会と折り合う必要性を感じているという見方です。このため、女性の教育や社会進出を認めるのではないかという観測もあります。ただ、これは希望的観測かもしれません。

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