海外大進学という選択

日本初! 公立小中高一貫校の小学校長に聞く「12年間を通じて目指すもの」

2021.08.23

author
山下 知子
Main Image

「答えはない」という発見も大事

――就学前に英語の学習は必要ですか?

英語に触れてこなくても、全く問題ありません。もちろん、学んできた児童にはより適した学習ができるようにします。

就学前は幼児として幼児の時を全力で過ごしてきてほしいと考えています。遊びの中に発見があり、学びがあります。たくさん遊び、いろいろなことに触れてきてほしいです。保護者の方は、お子様が「なぜ?」「これは何?」と聞いてきた時に、一緒に考えて、調べていただければと思います。大人が正解をもっていなくても構いません。分からない時にどうすればいいのかを一緒に考えたり、大人はどうするのかを提示したりすることが大切ではないかと思います。また、答えがあることばかりではありません。その時は、「何にでも答えがあるとは限らない」「答えがない場合もある」ということを知ることも、子供にとっては大切な気付きだと思います。

語学についても、外国語を学ぶということは、「分からないことに耐えながら工夫して学び続けていく」ことだと考えます。言語の学びには、これで終わりということはありません。日本語も同様で、何歳になっても「この言葉はこういうふうに使うのか」「こんな表現があったのか」と新たな発見があります。分からないことを楽しむ、分からないことを乗り越えて楽しむ、そうした素地として幼児期に「知ること」や「学ぶこと」の喜びをたくさん感じてきてほしいです。

考える技、調べる技、表現する技を

――「探究的な学び」をもう一つの柱に挙げていますね。

小学校段階から発達段階を考慮しながら取り入れます。探究的な学びの始まりは、「なぜ?」と思うことです。その「なぜ?」を、1、2年生は生活科の授業の中で、体験的な学びを通じて発見する基礎作りを行います。3年生から中学2年生にかけては、考え方、調べ方、表現の仕方などについて、具体的な方法を身につけていきます。自立した学習者になるための学びの「技」の習得です。学んだ「技」を自分の頭の中の引き出しに分類して入れ、必要に応じて適切な「技」を自分で取り出して学んでいくことで、自立した学びにつながると考えています。

中学3年からは、自立した学びを実践していく段階です。身につけた「技」を使って国内外の課題や、自分のあり方・生き方を探究し、高校1年生では全員が海外でインターンシップやボランティア活動に従事して、実践的な学びを深めます。その成果を日本語と英語で論文にまとめ、高校2、3年でその論文を活用して国内外に発信し、進路実現につなげていってほしいと考えています。

「考える技」等について(初級の例)
考える技 比べる、結ぶ、例える、分類する……
調べる技 見る、聞く、触る、嗅ぐ……
表現する技 話す、絵を描く、文を書く、グラフを使う……

――小中高一貫校は公立で広がりますか?

東京都に関して言えば、現段階で、2校目についての検討がなされているということはないと思います。他の道府県については全く分かりませんが、小中高一貫校を、12年間の教育を行う一つの学校として設置するということについては、現行の法令では「学校」としての定めがないため、難しいことがあるのではないかと考えます。東京都では、小中連携や義務教育学校の設置により、小中一貫教育への取り組みを推進している地区があります。そういった義務教育間の連携について取り組む中で、高校段階への接続や連携を課題として考えるということはあるかもしれません。

新着記事