読書と作文が好きになる学び

風越学園の「読書家の時間」「作家の時間」 都内進学校から転身した教師の挑戦

2021.08.24

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石臥 薫子
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生きること自体が自分の物語

澤田先生は、筑駒から風越学園に移った理由についてこう話します。

「筑駒はもともと学力レベルが高く、ある程度書ける子どもたちが多い。一方、風越学園は筑駒とは年齢層も違うし、学力レベルも多様。学校のコンセプトやカリキュラムも既存の学校とは大きく違う。そういう環境のもとで、ワークショップ形式の授業実践をもっと深めていきたいと思ったのです」

風越学園で澤田先生が昨年担当したのは、6、7年生(中1に相当)。子どもたち、先生のどちらにとっても初めての「読みひたる、書きひたる」1年間はどうだったのでしょうか。

「やはり1年間を通して『読書家の時間』と『作家の時間』を続けると、こんなにも成長するのかというのがまず驚きでした。子どもたちの作品を読むのって本当に面白いんです。エッセー、詩、物語、短歌、意見文、百人一首の現代版、フリージャンルでそれぞれ書いてもらいましたが、特に物語には子どもたちが夢中になって取り組んでいました。人間にとっては、生きること自体が自分の物語を作ることでもあるので、物語を書きたくなるのはある意味自然なことなのだと思います」

全国でも珍しい「読書家の時間」「作家の時間」を中軸に据えた国語教育。初年度を終え、課題も見えてきました。どんなスキルをどこまで教えるべきなのか。カンファランスや評価(点数をつける評定ではなく、生徒の自己評価とそれに対する教師からのフィードバック)の丁寧さと効率のバランスや、子どもたちが学び合えるコミュニティーづくり。澤田先生の模索は続いています。

※次回は、風越学園の副校長、甲斐崎博史先生のインタビューをお届けします。甲斐崎先生は東京の公立小学校で27年間教諭を務めた大ベテラン。「読書家の時間」「作家の時間」についても豊富な実践経験を持っています。

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