学習と健康・成長

昆虫食に関心高まる 環境問題解決の糸口にも? 専門家「多様性、子どもに伝えて」

2021.09.09

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ゆきどっぐ
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昆虫が苦手な人や初めての人は、佃煮からお試しを

――SDGsの観点から教育現場でも注目を集めている昆虫食。環境教育や食育を兼ねて、一度食してみたいと思うご家庭も少なくないと思います。家庭で親しむにはどんな方法があるのでしょう。

インターネットを使えば、日本人になじんだ味の佃煮など購入できます。イナゴや蜂の子は入門編としておすすめです。

佃煮に慣れたら、次は昆虫の粉末に挑戦してみてください。コオロギなどの粉末を混ぜ込んだせんべいやクッキーなどが市販されています。粉末は常温で保存できるし、賞味期限も長い。慣れてきたら、親子でお菓子作りや料理に活用するのもいいでしょう。カレーやハンバーガーに混ぜるのも一興です。

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左からコオロギの粉末を使用したコオロギ塩とコオロギのゴーフレット(内山昭一さん提供)

――採取した昆虫を食べるのは難しいんでしょうか。

できなくはないですが、気を付ける点が4つあります。まずは絶対条件として、加熱することです。昆虫はいろんな環境で暮らしていますから、過熱することで食中毒のリスクが軽減できます。

昆虫ではないですが、ナメクジを食べた人が寄生虫により死亡する事故がありました。ナメクジやカタツムリには寄生虫がいますから、絶対に生では食べないことです。少しでも不安であれば自分で捕って食べるのはやめたほうがいいでしょう。

2つ目に昆虫の種を特定することです。中には有毒な昆虫がいますし、見分けがつきにくいものもいます。採取した昆虫は、図鑑で調べるか、知識のある人に聞いて種の同定をしましょう。

3つ目に、昆虫は基本的に節足動物です。エビやカニなどと同じキチン質の殻を持っていますから、甲殻類アレルギーがある人は注意が必要です。

最後に、死んでいる昆虫は食べないこと。人体にとって悪影響のある殺虫剤で死んだのかもしれません。死んだ理由は見た目だけではわからないので、気を付けてください。

――昆虫食について親子で語り合う時に押さえておきたいポイントはありますか。

そうですね。まず、先に述べたように、昆虫は「究極の伝統食」だと、時代背景と共に教えてください。

そして食の多様性を伝えること。食の多様性とは、宗教や文化などが違うことにより生じる、食の違いを指します。食べ物はスーパーに並んでいるものばかりではありません。私たちは昆虫食をサイズにちなんで “プチジビエ”と呼んでいます。そうやって親しんでいる人がいることを伝えてください。

加えて、命を食べる実感についてです。昔は家で鶏を飼い、卵を産まなくなったら食べていました。今は鶏を飼う機会がほとんどなくなり、「死」とはどういうものかを実感する機会が少なくなっています。その点、昆虫食は“虫さん”には悪いけれど、死を身近に感じ、食べることで自分の血や肉となる経験ができます。生きていくうえで大切な教材です。

――最後に、内山さんが考える昆虫食の魅力について、教えてください。

一番はキャッチ&イートが手軽にできることでしょう。河原で捕った昆虫を焼いて食べると、新鮮だからおいしいし、捕った充実感も得られます。

人間は賞味期限やグルメ番組などを介して、食べ物を理解しています。けれど、人間も本来は雑食の動物。五感を通して食べ物を認識する能力を持っています。五感を開放して新しい食に出合う経験、雑食動物であることを自分の身をもって体験できる喜びは、これからの未来を生きる子どもにとっては大事な能力になると思います。

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それに、旬の食材に出合えるのもいいですね。夏ならセミ、秋ならイナゴといった具合に。私はセミが鳴き始めると、「今年もおいしいセミが食べられるなぁ」と思うんです。季節感が味わえるのは大きな喜びですよ。

昆虫は種類が多いから、まだ食べた経験のない未知の食材と出合えます。おいしいと感じた種類よりもさらにおいしい昆虫が、どこかに隠れているかもしれない。そんな発見の楽しさが待っているんです。

昆虫食は、虫好きな子だけでなく、食べ物に対して好奇心旺盛な子も興味を持ちやすい。最近では、自由研究で昆虫食に挑戦する親子も増えています。昆虫が苦手な人は、まずは市販の佃煮や粉末から試してみてください。

(編集:野阪拓海/ノオト)

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