コロナ禍2年目の大学入試

駿台・石原賢一氏「『3C』だった今春入試 来春は11月ごろの感染状況次第」

2021.08.26

author
中村 正史
Main Image

2022年度大学入試は、9月1日から出願が始まる総合型選抜(旧AO入試)からスタートします。ここに来て新型コロナウイルスの第5波が広がっていますが、大学入試をめぐる状況は昨年と違うのでしょうか。2回目となる大学入学共通テストや学部系統別、個別大学の動きは変わるのでしょうか。現段階での見通しを駿台教育研究所の石原賢一・進学情報事業部長に聞きました。(写真は初めての大学入学共通テストを受ける受験生=1月16日)

石原賢一

話を聞いた人

石原賢一さん

駿台教育研究所進学情報事業部長

(いしはら・けんいち)駿台予備学校に入職し、学生指導、高校営業、カリキュラム編成を担当後、神戸校校舎長を経て2017年から現職。

共通テストは難化の可能性

大学入試をめぐる状況は、新型コロナウイルスの影響から回復できていません。デルタ株の流行で、流れが変わってしまいました。先日も横浜市で主要大学が参加した大学説明会が開かれましたが、会場はガラガラでした。参加を取りやめた大学もあり、受験生も大学も感染を恐れています。

11月ごろまで様子を見ないと、入試がどうなるか、わかりません。すべてコロナの状況次第です。感染がさらに広がれば、学校閉鎖するところが出てくるでしょう。2009年から10年にかけて新型インフルエンザが流行した際は、関西で夏までに広がり、秋から関東で広がりました。学校閉鎖が相次ぎ、受験を控えた高3生に国がワクチンを優先接種して感染が収まり、10年の大学入試センター試験を迎えました。今回も学校閉鎖が出てくれば、国が受験生に集団接種することがあり得ます。

模試は5月から毎月、各校舎や高校の会場やオンラインで実施しています。しかし、校舎には以前のように近隣県からは受けに来ないし、高校でも中間層の生徒は危機感が薄く、あまり受けていません。試験会場では席を離して人数制限しており、模試の受験者は昨年に比べて回復していますが、一昨年と比較すると現時点では7割から8割にとどまっています。例年、参加者が多い9月の模試がどうなるかですね。

世の中では昨年の高3生が一番かわいそうだったと思われていますが、入試の観点から見れば、実は今年の高3生のほうがコロナの影響を受けています。高2の時に学校が休校になって授業が行われず、部活動もできませんでした。昨年の高3生は2年まではほぼ普通に高校生活を送っていました。昨年は学校側の対応も高3生が優先され、高2生は後回しにされました。そういう点では、今年の高3生が一番かわいそうな学年です。

中堅クラスの高校は、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(指定校推薦)を重視しています。コロナの状況次第で一般選抜(一般入試)にどんな混乱が起きるかわからず、高校生も保護者も早めに合格を手にしておきたいという気持ちがあります。昨年はコロナが広がってから9月の総合型選抜の出願まで時間がなく、また各種大会などが中止になって、高校は十分な指導ができませんでした。今年は大学側も早い段階から高校に対して、「大会がなくても努力したプロセスを見たい」などと周知しています。私立大学は今春の入試で志願者や入学者を減らしたところが多いので、総合型選抜などで受験生を確保しようとすると思います。

その結果、国公立大学を避けて、私立大学の総合型選抜や学校推薦型選抜に流れるのではないかと見ています。共通テストの志願者も減ると思います。

初めての今年の共通テストは、問題の形式は変わったものの、内容は易しく、平均点が高くなりました。数ⅡBの平均点59.93は昨年のセンター試験より10.9点も高く、英語のリーディングは東大合格者だと平均得点率が97%と満点に近く、昨年、一昨年より上がっています。

来年の共通テストは難しくなると予想しています。今年の数ⅡBは計算しなくても解ける問題がありましたが、来年は数学や理科で計算力が求められ、中間層以下は得点を大きく下げる可能性があります。国語はセンター試験とあまり変わりませんでしたが、来年は実用的な問題をどこまで入れるのか、注目しています。

新着記事