学習と健康・成長

中学受験と親離れ・子離れ その後の成長のために保護者ができること

2021.09.02

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佐々木 正孝
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中学受験は一つの目標に向かって親子で努力する一大イベント。手を取り合って受験を目指した後は、親子関係をどう考えていくべきでしょうか。「中学受験は親離れ・子離れの儀式」と語る啓明館塾長の後藤卓也さんに聞きました。

Takuya_Goto

話を聞いた人

後藤 卓也さん

啓明館 塾長

(ごとう・たくや)株式会社さなる啓明館事業部塾長。1959年愛知県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。啓明館の講師として算数・理科を指導する。著書に『子供の目線 大人の視点』(産経新聞ニュースサービス)、『秘伝の算数』シリーズ(東京出版)など。

中学受験の真の目的は「子どもを親離れさせ、自立させること」

――中学受験の本当の目的は「子どもたちを親離れさせ、自立させることにある」と語る後藤さん。その持論について、あらためてお聞かせください。

30年以上の指導歴を経て感じるのは「中学受験は大人になるためのイニシエーション(通過儀礼)」であるということです。

合格発表は指導者でさえ、毎回ドキドキします。1時間前には学校に駆けつけて、教え子の受験番号の一覧を握りしめ、合格者の番号を何度も見る。番号がなかったら、呆然と立ちつくす。このドキドキに慣れることはありません。

指導者が何度経験してもそうなるんですから、12歳の子どもにとっては人生で初めてといっていい、衝撃的な体験になるはずです。「これで自分の人生が決まるかもしれない」という高揚感、試験当日の緊張感、合格の喜びと不合格の悔しさを味わうことは、とても大切な経験になります。成功も失敗も全部自分がやったことの結果だと考えて受け入れる。これこそ、イニシエーション。子どもから大人への区切りの一つだと思うのです。

保護者の中には「こんな成績だったら中学受験をする意味がない」「偏差値が高い学校に進学することこそ良い受験、成功である」と考える方もいます。しかし、受験の合否ではなく、最後までやり遂げることが大事だと私は考えています。

不合格だったことを受け入れられず、「パパやママのせいだ」と言って荒れる受験生のエピソードを聞くことがあります。私は、成功も失敗も、すべて自分の人生の糧として受け止められる子に育ってほしい。自分で自分のために学び、受験に挑戦する。これが、中学受験が「子どもたちを親離れさせ、自立させることにある」という持論につながります。

――保護者や塾の先生のサポートがあっても、最後は自分の力だけで必死になって臨む。そのプロセスが大切なのですね。

そうです。受験の後には「頑張ったから合格できた」と満足感があるでしょうし、力の足りなさを自覚し、「あそこでもう少し勉強しておけばな」と思い出すことがあるかもしれません。だけど、受験勉強を乗り切り、試験日を迎えたことは「一つのミッションを成し遂げた」達成感につながります。結果がどうだったとしても、自主的に取り組んで受験を終えたら、また新たな気持ちで次のステップに進もうと思えるはずです。

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