一色清の「このニュースって何?」

総裁選と総選挙が迫る → 政治を知るにはまず仕組みを学ぼう

2021.09.03

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一色 清
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日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は、自民党総裁選への出馬を決め、記者会見で質問に答える岸田文雄前政調会長=2021年8月26日、東京・永田町、上田幸一撮影)

「一寸先は闇」の政治の世界

自由民主党の総裁選挙が9月29日に行われる予定です。その前に菅義偉首相が衆議院を解散して総選挙(衆議院議員選挙)が行われれば、総選挙が優先されて総裁選は先送りされます。しかし、菅首相は総裁選の先送りを否定しましたので、政界は総裁選に向けて動き出しています。予定通り総裁選が行われれば、自民党総裁になった人が国会の投票で選ばれて総理大臣(首相)になるのは確実です。首相が決まると、そのあとすぐに衆議院議員の任期満了がやってきますので、10月か11月には今度は総選挙があります。その戦いを念頭に置きながらの総裁選びになります。「政治の世界は、一寸先は闇」などと言われますが、総裁選と総選挙の両方を前にした今も、何が起こるかわからない状況になりつつある感じです。この秋の政治ニュースを理解するために、まず日本の政治の基本的な仕組みを知るようにしましょう。

民主主義国の政治の仕組みは、大きく分けて二つあります。大統領制と議院内閣制です。大統領制をとる国にはアメリカや韓国などがあり、議院内閣制をとる国にはイギリスや日本があります。大統領はふつう有権者による直接選挙で選ばれ、国のトップに就きます。一方、議院内閣制をとる国の多くには国王や天皇といった選挙で選ばれない元首(日本では象徴)が存在しています。実際に国を動かすトップは、国会議員の中から選ばれ、内閣総理大臣となります。総理大臣は首相とも呼ばれます。

日本の場合は具体的には、衆議院と参議院でそれぞれ議員の記名投票で首班指名選挙が行われ、投票総数の過半数を得た議員が首相に指名されます。衆議院と参議院で異なる人が指名された場合は、衆議院の指名が優先されます。

こうした決め方のため、政権与党のなかでもっとも多くの議席を持っている政党のトップが首相に選ばれるのがふつうです。このため、自民党ができてから65年間のほとんどにわたり、自民党の総裁が首相を務めてきました。自民党は1990年代前半に選挙で過半数を失って7党1会派の連立政権ができた時と2009年に選挙で大敗して民主党に政権を奪われた時の2度、野党に転落しましたが、いずれも短期間で与党に返り咲きました。

65年間で1度だけ、自民党が与党なのに自民党総裁が首相にならなかったことがありました。7党1会派の連立政権の足並みの乱れをついて、連立与党の一員だった日本社会党と新党さきがけと組んで、与党に返り咲いたのです。首相に据えたのは議席数がずっと少ない社会党のトップでした。「何が何でも与党に戻る」という自民党の執念を感じさせる政治劇でした。このときの自民党総裁であった河野洋平氏(現在の河野太郎・行政改革担当大臣の父)は結局、首相になれませんでした。

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