コロナ禍2年目の大学入試

河合塾・近藤治氏「看護は志望者減、共通テスト利用が大幅増」

2021.09.03

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中村 正史
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2022年度大学入試は、9月1日から出願が始まる総合型選抜(旧AO入試)からスタートしました。いまなお新型コロナウイルスの第5波が続いていますが、大学入試をめぐる状況は昨年と違うのでしょうか。2回目となる大学入学共通テストや学部系統別、個別大学の動きは変わるのでしょうか。現段階での見通しを河合塾教育研究開発本部の近藤治・主席研究員に聞きました。(写真は、初めての大学入学共通テストで英語〈リスニング〉の試験開始を待つ受験生たち=1月16日)

近藤治

話を聞いた人

近藤 治さん

河合塾教育研究開発本部主席研究員

(こんどう・おさむ)河合塾入塾後、教育情報部門で全統模試のデータをもとにした大学入試動向分析や進学情報誌の編集に携わる。教育情報部部長、中部本部長などを経て、2021年4月から現職。=撮影・大嶋千尋

難関国立大は堅調、私立は今春の反動か

8月に実施した模試では、高校も生徒の受験機会を創出するために、いろいろな努力をしてくれました。受験者数は受験人口の減少や九州の豪雨の影響もあり、前年比92%でしたが、一昨年までの平常の形に戻りつつあります。この点も踏まえて昨年8月の模試との比較で2022度入試の動向を見ていきます。

国公立大学も私立大学も、理系の志望者は微減、文系は減少傾向です。今春の入試と同じように、「理高文低」が続いています。

国公立大学では、旧帝大などの難関10大学には積極的な志望が見られ、東京工業大、一橋大、京都大では、昨年を上回っています。私立大学の難関13大学(早稲田、慶応、上智、東京理科、MARCH、関関同立)は、ほぼ昨年並みの志望者数ですので、今春入試のような志願者減には至らないでしょう。

特に共通テスト利用方式は志望者が大きく増えています。共通テストが2年目になり、警戒感が薄れているのだと思います。

私立大学は今春入試で志願者が前年より14%も減り、入学者確保のために都市部の大規模大学で合格者を大幅に増やした影響で、入りやすくなりました。現時点では、どうもその反動が出ているようです。

学部系統別では、情報系が人気です。22年度に名城大、近畿大、岡山理科大が情報系の学部を新設することにも引っ張られています。

今春入試で志願者が減った外国語・国際系は、引き続き厳しいです。特に留学を売りにしているところは、この1年間、留学ができなかったことや、主な就職先となる観光、ホテル、航空などの業界がコロナで大打撃を受けているので、入試にも影響しています。

ただ、秋以降にコロナが収束すれば、人気が戻る可能性はあります。もともと人気があるところなので、現時点ではコロナの状況を考えて、志望先を法や経済系などにしている人がいるかもしれません。留学を秋以降に再開する大学が出てきたし、大学の授業も対面を増やしつつあるので、そういう空気が広がれば人気が戻る可能性があります。そもそも外国語・国際系は志願者が減ったことで、入るのが易しくなっています。コロナがこの先、4年も5年も続くとは思えず、収束すればリバウンドで海外との行き来が盛んになるでしょうから、今がチャンスともいえます。

看護を含めた医療系は、今春入試では減るのではないかと思っていましたが、実際には増えました。コロナ関連のニュースを見て、医療現場には医師や看護師だけでなく、保健所の職員や薬を開発する研究者など、さまざまな活躍の場があることを知って、逆に興味を持ったのではないでしょうか。

看護が人気だったのは、地元で働きたいという地元志向の表れです。教員養成系が減らなかったのも同じ理由です。

しかし、今回の模試では医、薬は堅調ですが、看護は国公立も私立も減少が目立ちます。昨年の反動のほか、コロナ禍での現場の過酷ぶりを知り、敬遠しているのかもしれません。教員養成系も減っています。

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