STEAM教育

水質汚濁の新たな検査法・外出自粛による会話量変化測定…高校生が東大で学際的研究

2021.09.03

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斉藤 純江
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日本科学未来館(東京都江東区)の運営などを手がける国立研究開発法人・科学技術振興機構(JST)が、事業採択した全国14の大学や研究所を支援し、グローバルに活躍できる科学技術人材の育成を目指す「グローバルサイエンスキャンパス」という試みを進めています。そのうちの一つ、「東京大学グローバルサイエンスキャンパス(UTokyoGSC)」の取り組みをのぞいてみました。「STEAM教育」が注目され、教科の枠を超えた学びの重要性が指摘されるなか、高校生のうちから最先端の研究に触れ、科学技術と社会とのつながりに着目した学際的な視点を養ってもらうのが狙いだといいます。(写真は東大で実験に取り組むUTokyoGSC第2期生の奥村万美さん)

北海道や愛知、熊本…18人の高校生が研究成果を発表

8月上旬、UTokyoGSCの中間発表会がオンラインで開かれました。発表者は首都圏のほか、北海道や秋田県、愛知県、滋賀県、熊本県など全国の公立や私立高校に通う18人の高校2年生と3年生。昨年7月から講義やワークショップに参加し、今年4月から研究活動を進めてきました。

渋谷教育学園渋谷高校(東京都)2年の奥村万美さんの発表テーマは「F特異RNA大腸菌ファージGⅢの可能性」。東京五輪でトライアスロンなどの会場となった東京・お台場の海は、テスト大会で選手に「トイレのような臭さ」と指摘されました。奥村さんは、GⅢというファージ(大腸菌に感染したウイルス)を汚染度の新たな指標として設定できる可能性について、東大工学系研究科の片山浩之教授の研究室に何度も通い、研究の相談をしたり、大学院生に実験の指導を受けたりしながら研究に取り組んできました。GⅢを指標として使うことができれば、水質の検査結果がわかるまでの時間が大幅に短縮できるのだといいます。

コロナ禍で留学がなくなり東大へ

コロナ禍がなければ、奥村さんは1年間、ドイツに留学する予定でした。それがなくなり、有意義に過ごせるものを探していて、 UTokyoGSCを見つけたそうです。「興味あることを、自分で考えて自由に学んでいくのは、一人で机に向かって勉強するよりおもしろい」といいます。文系志望ですが「研究で身につけた論理的な思考や手を動かして実験した経験は、どんな道に進んでも生かせると思います。大学生になるのが楽しみです」と話します。

ほかの参加者の発表テーマも、キノコを培養してプラスチックなどのゴミを分解する可能性を探るものや、外出自粛がもたらす会話量の変化の測定、アメダスによる豪雨時の風向・風速の地域性解析など多岐にわたっています。発表の持ち時間は1人10分。どの生徒も研究の目的や研究方法などを手際よく説明し、「その物質を実験に使った理由は?」「データを取り直すとすれば、あとどのくらい時間がかかりそうですか?」といった教員の質問にも、臆することなく答えていました。

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