一色清の「このニュースって何?」

首相退陣で株価上がる → 株がわかれば資本主義がわかる

2021.09.10

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一色 清
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日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は、一時3万円台となった日経平均株価を示した株価ボード=2021年9月7日午前9時38分、名古屋市中村区、岩下毅撮影)

会社がお金を集めるための手段

菅義偉首相が9月3日に「自民党総裁選に出ない」と表明すると、東京証券取引所の日経平均株価が急上昇しました。その後も上がり基調が続いています。株価は景気が良くなるかどうかを先取りして上がったり下がったりします。総理大臣が代わると空気が変わって景気が上向くとみる人が多いので、株価は上がっているようです。

といっても、株(株式)の売買をしていない人には、その理由や影響がピンとこないのではないでしょうか。ましてや小中学生となると、関心すらないでしょう。でもわたしたちは資本主義という経済の仕組みの下で暮らしています。株というのは、資本主義の仕組みの代表的な道具です。アメリカなどでは、小中学生の時からお金の教育をして、株取引についても教えるそうです。日本ではお金についてあまり教えませんが、わたしたちの経済の仕組みを知るためには株についての基礎知識を持っておくことが必要だと思います。

株は会社が発行するものです。日本の会社のうち大きめの会社はほとんどが株を発行しています。こうした会社を株式会社といいます。会社がなぜ株を発行するかというと、お金を集めるためです。会社をつくったり経営したりするにはお金がいります。設備を買ったり人を雇ったりするためです。会社を経営する人がたくさんの貯金を持っていて自分のお金でまかなうことができればいいのですが、そんなお金を持っている人はあまりいません。銀行からお金を借りることもできますが、銀行は担保がなければ貸してくれませんし、借りたお金は利子をつけて返さないといけません。そこで、株を発行して誰かに買ってもらうことでお金を集めるのです。

株を買う人を投資家といいます。投資家は会社がもうかればもうけの一部を配当(分配金)としてもらうことができます。また、株は会社の価値を小分けしたものなので、会社の価値が上がれば、株の価値も上がります。会社の業績が上がったり、素晴らしい新製品のアイデアを持っていたりすると、その会社の株を持ちたいという人が増え、株価が上がります。すでに株を持っている人は、買った時よりも高い値段で売ることができ、もうかります。逆に会社の業績が悪いと株価は下がりますし、倒産すれば株の価値はなくなり、投資家は損をします。

経営者は会社の業績をよくして価値を上げると、たくさんのお金を集めることができて会社を大きくすることができます。そのため経営者は業績を上げるために懸命に努力することになり、それで経済全体が成長するのです。

資本主義は、「会社を私有する資本家が、労働者から労働力を買って、モノやサービスを生産、流通させ、利益を得る」という経済の仕組みのことです。株式会社の場合、株を持っている人が資本家になります。つまり、株を持つことは資本主義の主役である資本家になるということです。「株は資本主義の仕組みの代表的な道具」というのは、そういう意味です。

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