コロナ禍2年目の学び

コロナに負けない高度な国際教育プログラム「ダブルヒーリックス」 巣鴨中高の挑戦

2021.09.16

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市川 理香
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「英語が話せても中身がないと…」

「こんな素晴らしい先生たちと働けることが報酬じゃないですか」。生徒の参加費(1人2万円)は全て講師への謝礼に充て、参加校の先生は無報酬と伝えたとき、ある高校の先生が岡田教諭に発した言葉だという。各校で国際部長や教務部長などとして激務をこなす先生たちが、協力を惜しまずにはいられなかったDHの魅力とは一体、何なのか。

オンラインによるコロナ禍への挑戦もさることながら、「現状の国際教育プログラムに対する物足りなさもあるのではないか」と岡田教諭はみている。山崎教諭とともに各校に赴きDHをプレゼンした際には、こう力説して手応えを感じたという。「国際競争力というけれども、英語が話せても中身がないと相手にされない。だから高校生のために知識をきちんと身につけてから高次の思考をする、またはそのプロセスを感じられるプログラムを作りたい。知識が増えれば増えるほど、そこで高次の思考を練習すればするほど、その二つがともに強くなっていく。二つがバラバラになることはないのだということを証明したい」

講師とのやりとり、資料の準備、当日の運営など、プログラムの全般にわたり岡田教諭をサポートした山崎教諭は、生徒の表情が印象に残ったと語る。「知識と高い次元の思考が結びついた瞬間に、ぱあっと輝く表情がすばらしいと思いました。逆に、今まで自分が正しいと思っていた見解が根底から揺らいでいるときの不安そうな表情も印象に残っています。自分というものが固まりつつある高校生にとって、そこを揺さぶられると不安になるのですね」

戸惑いを覚えた生徒にとっては、計6回設定された「リフレクションセッション」が効果的だったようだ。知識と思考を結びつけるとはどういうことかに気づいてもらうため、内容を教えることに熱中しがちな講師に代わり、岡田教諭が自ら担当した。生徒の参加は任意で、課題の振り返りや英語学習の悩み相談などをざっくばらんに話す一方、時にはあえてこんな厳しいことも生徒に言ったという。「君たちと話していると、テレビや新聞の受け売りで、みんな同じに聞こえる。君たちがどんどん勉強して、既存の知識に新しいことを加えて自分なりに練り上げ、どんどん自分らしくなっていくと、人生が楽しくなってくると思うのだけど」。それを聞いたある生徒は「自分の考えを再発見した」と応じたそうだ。

巣鴨中高国際部長の岡田英雅教諭(左)と、「リフレクションセッション」発案者で元イートン校教員のジェンキンソン氏=2019年、プラハで。岡田教諭提供
巣鴨中高国際教育部長の岡田英雅教諭(左)と、「リフレクションセッション」発案者で元イートン校教員のジェンキンソン氏=2019年、プラハで。岡田教諭提供

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