国語のチカラ ~「読み、書き、表現」アップの鉄則~

物語文はどう読む? 低学年のうちに家庭学習で押さえるべきポイント

2021.09.16

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南雲 ゆりか
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ほとんどの中学入試で物語文が出題されます。

物語は読みやすそうに思えますが、行間を読むのは簡単ではありません。「常識」と「考察する力」がないと解釈の方向をまちがえます。

低学年のうちから親子で物語を読み、対話しながら解釈の仕方を教えたり、考えさせたりする時間を持ちたいものです。

今回は、そのやり方についてお話ししたいと思います。

まずは書いてあることを理解する

書かれている内容が理解できなければ、行間を読むどころではありませんね。

子どもたちは、理解できた部分、印象に残った部分に引っ張られて、話自体を自分流にねじ曲げてしまうことがあります。

だいぶ前のことですが、4年生の授業で、主人公の名前が「カオル」と表記されているのを「カエル」と読み誤り、カエルを擬人化した話だと思い込んでいたケースがありました。

この例は少し極端かもしれませんが、答案を見ていると「こんな誤解をしていたのか」と驚かされることがしばしばあります。

読み聞かせをしたり、一緒に音読したりしながら、まずは話の内容を正確に把握するスキルを身につけるようサポートしましょう。

ときどき前に戻って情報を整理する

わからなくなったら前に戻って確かめて情報を整理すればよい、ということを教えましょう。

たとえば、物語の始めのほうは、いろんな登場人物が出てきて混乱しがちです。「太郎さんってだれだった?」と前に戻って、「あ、お兄さんの友だちだったね」などと確かめながら読みます。

「今、どこにいる?」「何をしているところだっけ?」など、場所や時、できごとなども確認してください。

また、「この会話文、だれが言っているの?」「走って帰っていったのはだれ?」など、「だれが何をしている」のかも、確かめましょう。誤解したまま読んでいることが意外とあります。

文章は前に戻って確かめながら読むものだということを植え付けておくと、自ら情報を整理できるようになっていきます。

さらに、普通はこう読むという最大公約数的な解釈の仕方についても教えていきましょう。

「できごと・ことがら」と「心情」の約束事を教える

直接書かれていないことを解釈する問題として典型的なのが、「心情の読み取り」です。

「悲しい」「うれしい」などの「心情語」が書かれていなくても、それを説明できなければいけません。そのためには、心情表現の約束事を教える必要があります。

たとえば、「顔が赤くなる」は、「恥ずかしい・照れくさい」「怒っている」「興奮している」などの心情を表す表現ですね。こうした知識を、いろんな機会を通じてインプットしていきましょう。

ただし、心情はできごとや状況、ことがらとリンクさせながら読み取る必要があります。

「先生のことをうっかり『お母さん』と呼んでしまって赤くなった」のなら、「恥ずかしい」がふさわしいですね。

以下のように、「ため息」「涙」もいろいろな心情(気持ち)を表します。その都度確かめるとよいでしょう。

○物語文はどう読む? 低学年のうちに家庭学習で押さえるべきポイント

「こんなことがあると、普通はこういう気持ちになるものだ」という約束事も、「心情語」とともに教えておくと読解の役に立ちます。

子どもたちは「自分だったらどう思うか」を判断基準にしがちですが、それが一般的な考え方と異なっていると、読解の方向がずれてしまいます。

例を挙げましょう。

「子どもが、行き先を告げずに遠出をして知らないところに来てしまい、日が暮れそうになっている」場面は、「トロッコ」(芥川龍之介)をはじめ、いろいろな物語で描かれます。

一緒に読みながら、「こんなときにはどんな気持ちになるかな」と問いかけましょう。

「心細さ・不安・恐怖・後悔」などの気持ちを抱えながらも、なんとか家に帰ろうと必死になるのが普通ですね。そして、家に着いたとたんに大声を上げて泣く、というのがよくある流れです。

「家に帰って安心して緊張がゆるんだんだね。だから、今までこらえていた気持ちが一気にあふれてきたんだよ」と話してあげるとよいでしょう。

そのほか、情景描写や象徴表現にも目を向けさせたいところです。

「雨がやんで日が差してきた、と書いてあるけれど、この後、話はいい方向にいくかな? 悪い方かな?」などと問いかけてみてください。

一般的には天気の回復は、問題の解決などよい方向に展開することを暗示することが多いですね。

主題を考えさせる

アニメやマンガでもよいのですが、「何を描きたかったのかな」という問いかけをして、主題を考えさせてみてください。

はじめは「イソップ童話」や「昔話」のような教訓のはっきりした話で練習するといいと思います。

考えること自体に意味があるので、「友だちを大切にしなさいってことかな」といった、おおまかなとらえ方で十分です。

以上に紹介したような働きかけによって、子ども自らが問いを立て、考えながら読むようになってきます。そうなれば親は手を引いても大丈夫です。子どもの発達に合わせて、無理なく少しずつ取り組んでみてください。

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