新しい教育のカタチを考える
小学校教科担任制、先行現場はどう変わった? ポイントは体制づくり
2021.09.22

「教科担任制」のパイオニア お茶の水女子大学附属小学校
1877年(明治10年)の創立以来、海外の先進的な教育制度を取り入れてきたお茶の水女子大学附属小学校。同校では教科担任制を古くから導入し、現在は小学3年生から実施しています。副校長の片山守道先生に導入の目的について聞きました。
――お茶の水女子大学附属小学校ではいつから、どのような背景で「教科担任制」を導入されたのでしょうか。
片山副校長:実は、導入された時期は正確にわかっていません。ただ、1920~30年代にすでに教科担任制が一部導入されていたという資料が残っています。その後も形を変えつつ、今日まで取り組んできたと考えると、100年近い歴史があるのではないでしょうか。
教科担任制の最たる特長は、専門性の高い教員が授業を受け持つ点です。小学校高学年になると知的好奇心が増し、学習指導要領の枠にとどまらない領域に関心を持つ子どもが増えてきます。彼らの疑問や探究心に教員はどこまで応えられるか、子どもの学ぶ意欲を大切にしながら支えていくアプローチができるか、教員の力量にかかっていると思います。
――学問の体系的な知識を持つ教員であれば、中高の学びにつながる知識の先取りにも応えられそうです。
片山副校長:中学校の学びを先取りするというよりも、中学校以降の学びを見通して、そこにつながる見方や考え方を小学校で重点的に学ばせていきたいと考えています。
そもそも、「学級担任として子どもを見る視点」と「特定の教科の授業を通して子どもを見る視点」では、見えてくるものが違ってくるんです。
例えば、小学校低学年の子どもたちは、日々の生活や遊びを通して多くのことを学んでいきます。これには一日を通して、一人ひとりの子どもを見続けなければわからないことが多い。だから、低学年に教科担任制を導入することは難しいでしょう。
本校で重視しているのは、知識の先取りではありません。むしろ、学びの入り口に立つ子どもたちから、どうしたら興味や関心を引き出せるかに重きを置いています。
