「地方」で学ぶ

県外から「教育移住」相次ぐ、長野・大日向小 国内初のイエナプラン教育校の学びとは

2021.09.28

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葉山 梢
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7割が県外からの移住者

大日向小に通う子どもの約7割は、県外からの移住者だという。

川崎市から一家で佐久穂町に移住してきた豊田陽介さん(41)は、妻の愛子さん(39)とともに、長男、長女、次女という3人の子育て中。このうち、小5の長男が大日向小に通っている。

食品会社に勤めていた2018年、次女の育児休業を1年間取得。夏に佐久穂町で1カ月間の短期移住を経験し、長男が開校前のサマースクールに参加したのが大日向小との出会いだった。

サマースクールは、お気に入りの石を見つけて発表するという内容。長男は画用紙の端のほうに絵を描いたが「修正することなく、受け入れ、認めてくれた。息子がのびのびとしている姿を目の当たりにして、こんな学校で育つ息子を見てみたいと思った」と豊田さん。これまで通っていた学校で与えられた課題を卒なくこなすことが是とされることに、何となく疑問を感じていたことも決断を後押ししたという。最初は以前の学校と全く異なる、自ら考えて決めていく授業のスタイルに戸惑っていた息子も、いまは自分の好きなことを探求できる学校に楽しそうに通っている。町のスポーツ少年団で地元の友達もできたという。

「受験的な学力という観点で考えるなら、都会の進学校のほうがいいかもしれない」と豊田さん。ただ「学力はどこかのタイミングでスイッチが入れば取り戻せる。それよりもいまは個人として認められ、自分の意見を言っても大丈夫なんだという感覚を育ててほしい」。中学校を卒業した後は、進学せずに働いてみるのも良いと思っている。皆が進学するからと盲信的に進学を選ぶのではなく、自分で考え、決められる子に育ってほしいという。

豊田陽介さんと愛子さん
佐久穂町でカレー店を開いた豊田陽介さんと愛子さん(本人提供)

豊田さんは食品会社での経験を生かし昨年、佐久穂町の空き店舗でスパイスカレー店「カレー屋ヒゲめがね」を開いた。同様に移住してきた大日向小の保護者が今年、古本屋とジュエリー工房を開き、来年にはクレープカフェの開店も予定されている。元からの住民によるそば屋やパン屋もオープンし、少しずつ商店街が活気づいてきたという。豊田さんは「他にはない教育を求めてアクティブな人が毎年移住してくるのは、小さな町ではインパクトがある。地方活性化の一つとして、教育に力を入れるのもありだと感じる」と話す。

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