「地方」で学ぶ

授業もクラスもない「学校」 自由と葛藤の1年間を追ったドキュメンタリー映画が公開

2021.09.30

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葉山 梢
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鳥取県の山あいの町にある新田(しんでん)サドベリースクール。授業もテストもクラスもなく、子どもたちの「やりたい」を最大限に尊重する同校の1年間を追ったドキュメンタリー映画「屋根の上に吹く風は」が公開されます。
(写真はすべて映画から ©SAKAE ASADA)

子どもを信じて待つ

新田サドベリースクールは、自然豊かな鳥取県智頭町で2014年に開校した。子どもの主体性を尊重する米国の「サドベリー・バレー・スクール」をモデルに、子育て中の親たちが中心となって立ち上げた。ルール作りから運営まで子どもたちが携わり、生活の中で、自分で考え、判断し、解決する力を身につけることを目指している。学校教育法で規定される学校(1条校)ではないものの、理念にひかれたり既存の学校になじめなかったりした7~15歳の子どもたちが25人ほど(状況に合わせて柔軟に登校する「準メンバー」を含む)通っている。

その日1日、何をするかは子ども自身が決める。教科書などを使った勉強をするかどうかも自由。ゲームをしても、屋根の上に上ってもいい。ただ「自由」な毎日が続くと、「退屈」と口にする子も。映画では、ある子は私立中学の受験を決意して猛勉強を始め、別の子は「喫茶店を開いてみたい」と動き出す。

©SAKAE ASADA
©SAKAE ASADA

サポート役の大人は「先生」ではなく「スタッフ」と呼ばれ、常勤のスタッフは子どもたちによる選挙で選ばれる仕組み。映画では、「黙って見守る」と「サポートする」の間で葛藤するスタッフの姿も映し出される。

スタッフや子どもたちは、どんな思いでスクールにかかわっているのだろう。

開校時からスタッフとしてかかわる「ようちゃん」こと長谷洋介さんは、「手や口を出すのは簡単だけどぐっと我慢して、子どもを信じて待つことを意識している」と言う。以前は高校の先生だったが「生徒たちは必ずしも学校が好きじゃなくて、学校ってなんだろうと考えることが多かった。子どもたちは毎日楽しく過ごすのが一番だと考えるようになりました」。サドベリーは「遊んでばかりで大丈夫?」と心配されることも多いが「時間がたっぷりあるので、より人生を考えることができる。将来こうなりたいと思うものができたとき、逆算して必要なスキルが身につくのではないか。学びの形はいろいろでいい」と話す。

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