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「小3の娘が自作PCでマイクラ」市岡元気さんに聞く、子どもの自由研究への関わり方

2021.10.18

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夏野 かおる
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「小3の娘が自由研究で作った自作PCでYouTubeでマイクラ攻略見ながら、マイクラやっている…」。7月末に投稿されたこのツイートは瞬く間に拡散され、「令和の小学生はすごい」と大きな話題になりました。普段は覗くことのないパソコンの中身。いちから組み立てることで、コンピュータへの理解も深まりそうですが、一般の家庭でも実践できるのでしょうか? 投稿主であるサイエンスアクター(実験系YouTuber)の市岡元気先生にお話を伺いました。

Genki_Ichioka

話を聞いた人

市岡元気さん

サイエンスアクター/実験系YouTuber

(いちおか・げんき)東京学芸大学初等教育教員養成課程理科選修卒。2019年、YouTubeチャンネル「GENKI LABO」を本格始動。2021年10月現在、登録者数約40万人超。同年、株式会社GENKI LABO設立と同時にCEOに就任。数々のサイエンスライブ、実験教室を全国各地で開催。最近ではオンラインを活用した実験教室も人気に。バラエティー番組などで、罰ゲームの実験・監修をするほか、YouTubeでは「QuizKnock」「水溜りボンド」「スカイピース」「すしらーめん りく」などに実験協力。科学の面白さを多くの人に知ってもらうためにマルチに活動するサイエンスアーティスト。

三者三様の自由研究をサポートした夏

——元気先生のツイートは大きな反響を呼びましたが、一般的な「自由研究」とはイメージが異なるなと思いました。

そうですね、一般に「自由研究」というと理科の実験をイメージする人が多いでしょう。ただ、娘が通っている小学校では、テーマの幅が比較的広く取られていました。理科に限らず、図書館での調べ学習なども「自由研究」として推奨されていたんです。

そうした背景もあり、せっかくなら、子どもたちが興味を持てるテーマにしようと。そこで子どもに「どんなものが好き?」と聞いたら、「YouTubeとマイクラ(マインクラフト)!」と言われたんです(笑)。「だったら、YouTubeもマイクラも楽しめる『パソコン』を作ろうよ!」という流れで「自作PC」をテーマに選びました。

また、私は動画クリエイターとして活動しているのですが、同時期に大手コンピュータパーツメーカーのASUS(エイスース)さんから動画制作のお仕事の打診をいただいたんです。

もともとは「不慣れな方や、女性の方でも簡単に組み立てられる『自作PC』の紹介」という提案だったんですが、試しに、「子どもでも組み立てられますか?」とたずねてみたところ、「いけます!」と。

そんなわけで、ASUSさんの動画を参考にしたり、パソコン雑誌『DOS/V POWER REPORT(ドスブイ パワーレポート)』の初心者向け記事を読んだりしながら、子ども自身がパソコンを組み立てられるようサポートしたという経緯です。

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パソコンの部品の買い出しをする元気先生のお子さんたち

ちなみに、僕には子どもが3人いるので、この夏は三者三様の自由研究をお手伝いしましたよ。

——自作PCのほかに、どんな自由研究をしたのでしょうか?

(双子の1人である)小学3年生の娘は、僕と同じで恐竜が好きなんです。そこで福井県にある「福井県立恐竜博物館」へ足を運び、恐竜の化石を観察しました。

ただ、こうした博物館に置いてある化石って、レプリカであることも珍しくないんです。それを娘に教えたところ、「レプリカってどうやって作るんだろう?」と疑問を持ったので、「低溶融金属を使ったレプリカ作り」をテーマに選びました。

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博物館のお土産品として売られていたティラノサウルスの歯(レプリカ)を粘土で型取りし、低溶融金属で複製する実験

一方、小学1年生の下の子は、お花や雪の結晶といった“きれいなもの”が好きで。「それなら、結晶作りはどうかな?」と提案しました。尿素を水に溶かし、少しずつ冷やして結晶化させる実験です。水性のカラーインクを使えば色をつけることもでき、見た目にも楽しい実験でした。

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尿素の結晶。線香花火のような仕上がり

実は、去年もマーブリング(※)の実験を手伝ったのですが、これが結構うまく行きまして。「よく出来ている」と、校長室の前に飾っていただけたそうなんです。そういったこともあり、今年も、早い段階で子どもたちから「今年も手伝ってよ」とリクエストをもらっていました。

(※)水よりも軽い絵の具を水面に垂らし、できた模様を紙などに写し取る手法。

——それぞれの興味・関心を生かした、楽しい実験ばかりですね。ただ、中には、「子どもの自由研究なのだから、保護者は手出しすべきではない」といった意見もあるかと思いますが……。

確かに、自由研究は子ども自身が取り組むべき宿題ですから、保護者が肩代わりしてしまうような取り組み方には問題があるかもしれません。でも、逆に、保護者がまったく手を入れないのも、かえって子どもの可能性を狭めてしまうのかな、と思うときがあって。

とくに小学生くらいの子どもだと、自らが抱いた興味をどう広げていけばいいのか、分からない子が多いと思うんですね。サイエンスアクターである僕ですら、子どもの頃の自由研究を振り返ってみると、せいぜい「ハムスターの観察」とか、「カブトムシを対戦させる」くらいの内容に留まっていました。大人になった今でこそ、「もうちょっとこういう切り口にすれば、面白い実験になっただろうな」などと考えますが、当時の僕では、それ以上のアイディアまで発展させるのが難しかったんです。

ですから、子どもが主体となって取り組むのは大前提として、大人が適宜アドバイスするのが効果的なのかなと。とくに、研究結果のまとめ方などは、どこかで誰かに教えてもらわないと自然には身につかないもの。できれば、まわりの大人が導いてあげるといいのかなと思います。

また、同じ理由で、「先人の研究にのっとる」のも、充分教育的効果があると考えます。「自由研究」というと、完全にオリジナルの研究をしなければならない印象がありますが、何もヒントがないと、かえって広がりを欠く。その意味では、自作PCを含め、誰かがすでに道筋をつけてくれている分野に改めてチャレンジするのも、良い学習機会になるのではないでしょうか。

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元気先生の出版された『おうちでできるオモシロ実験!』(講談社)。「可視光と紫外線」「毛細管現象」などのベーシックなトピックを、“映え”を意識した実験にアレンジしている

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