学習と健康・成長

国語の読解力、親子で学んで身につける 家庭で伸ばすポイントは「子ども扱いしない会話」

2021.10.21

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阿部 花恵
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子どもが国語の「読解力」をどう身につけるか、悩む保護者は多いかもしれません。受験する当人だけでなく、保護者も一緒に学ぶ「読解力養成親子講座」を主催するプライムミッションゼミ代表・早瀬律子さんに、読解力の重要性と親子で取り組むメリットについて聞きました。

Takuma_Hashimoto

話を聞いた人

早瀬 律子さん

プライムミッションゼミ代表

(はやせ・りつこ)国語を中心とした受験専門教師、受験カウンセラー、セミナー講師。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修了(国際関係学専攻)。塾講師と家庭教師に携わり、独自の読解法と抜群の合格実績が評判となる。現在はプライムミッションゼミ代表として受験生の指導はもちろん、保護者も中学入試国語を学ぶ親子講座を定期開催する。著書に「<中学入試>国語の読解は「答え探しの技(ワザ)」で勝つ!」(文芸社)、「中学入試を制する国語の「読みテク」トレーニング」(同)などがある。

国語の「読解力」がないと、他教科の知識も取り込めない

――2018年のOECD生徒の学習到達度調査(PISA)で、日本の15歳の読解力が15位に下がりました(2015年時は8位)。こうした背景もあって近年、「読解力」の重要性が語られる場面が増えましたが、そもそも「読解力」とは何でしょうか。

読解力とは、文章を読み解く力、つまり「文章の意味を正確にキャッチする力」です。

私たちの身のまわりはすべて日本語で書かれていますよね。算数・理科・社会科の教科書や参考書もそうですし、新聞や書籍、説明書まで、基本的には日本語で書かれているものを日々読み解いています。

どんな意味で書かれているのかが正確に読み解けないと、新しい知識を取り込むことはできません。ですから、日本語を正確に読み、理解する力を鍛えることは、国語はもちろん、あらゆる教科の成績を上げる上でも役立ってくるのです。

――中学受験の国語にはどのような読解力が求められているのでしょう。

中学受験の国語って、実は相当難しいんですよ。おそらく、多くの大人が考える国語とはまったくの別物です。

例えば、早稲田大学高等学院中学部の平成24年度の入試では、次の論説文が出題されました。

アンネ・フランクの家を調べに来たナチス側の人間に「ユダヤ人はいない」と嘘をついて、ユダヤ人を守ることは、暴力から他人の権利を守るための嘘だと言っていいだろう。ところが大哲学者のカントが「人の命を救うために嘘をつく」のは、正しくないと主張する。『人間愛からなら嘘をついてもよいという誤った権利について』で、「われわれの友人を人殺しが追いかけてきて、友人が家のなかに逃げ込まなかったかとわれわれに尋ねた場合、この人殺しに嘘をつくことは罪であろう」と言うのだ。 これに対して、フランスの小説家で政治家のコンスタンが「権利のないところに義務はない。真実を言うことは義務である。しかし、けれども、その義務はただ真実に対する権利を持つ人に対してだけである」と言ってカントを批判する。これはキケロの「相手側に不誠実がある時には、約束は守らなくてよい」という考え方と同じである。
出典:「現代倫理学入門」加藤尚武著(講談社)

いかがでしょう。カント、コンスタン、キケロといった人物が何をした人なのか知っていなければわかりにくいし、テーマも難しいですよね。一般的には大学入試レベルといっても遜色ない内容で、大人でも読み解くのは困難なはずです。

――確かにそうですね。論説文の難易度は、中学受験の偏差値と比例するのでしょうか。

いえ、そういうわけでもありません。偏差値がトップレベルでなくても難易度の高い文章を採り上げる学校はたくさんあります。では、なぜここまで難易度の高い文章を出題するのか。

中学受験の入試問題は、学校からのメッセージだとよくいわれます。どんな生徒に入学してほしいかは学校によって異なるもの。漢字の「とめ」「はね」「はらい」に厳しい学校もあれば、多くの知識が求められる学校、スピーディーな情報処理能力が重視される学校もあります。「難解な文章もきちんと読み解く力を持つ生徒が欲しい」という学校であれば、先ほどのような難しい文章で合否を分けようとするでしょう。

学校の個性は多種多様であり、それが入試問題にも反映されているのです。

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