「地方」で学ぶ

「しまね留学」の島根県立津和野高 「地元と留学生、双方に良い刺激」

2021.10.05

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水田 道雄
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山下 知子
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島根県では、県立高校が県外の生徒を積極的に受け入れる「しまね留学」という取り組みを進めています。現在は15の県立高が「留学生」を受け入れ、その生徒数は年々増加しています。そんな高校の一つで、文豪・森鷗外や啓蒙思想家・西周(にし・あまね)ゆかりの津和野町にある県立津和野高で8月に開かれたオープンスクールをのぞきました。(写真は、県立津和野高で8月に開かれたオープンスクールの様子=島根県津和野町、水田道雄撮影)

山あいの盆地に城下町が広がり、「山陰の小京都」と呼ばれる津和野町。中心部にある県立津和野高で8月18日、中学3年生向けのオープンスクールが開かれた。

同校の体育館に集まった中学生は86人。新型コロナウイルスの感染拡大で、県外からの約30人の参加は見送られた。

マスクの着用や検温、消毒などの対策をして、オープンスクールは始まった。生徒たちの手作りで、司会や進行も生徒が受け持った。「進路がものすごく広くて、希望も通りやすい。海外留学や地域との交流も盛ん」「東京や埼玉など島根県外からも多くの生徒が来ている」。生徒たちは口々に、「ツコウ」と呼ばれる学校の魅力をアピールする。

町と隣接する山口県萩市を出発し、学校までの約25㌔を歩く「鍛錬行事」や球技大会、文化祭などの学校行事についても説明。「もう津和野高に(進路を)決めている人はいますか? 何でもできるのがツコウのいいところ。先輩や先生もフレンドリーな人が多い。ぜひ来てほしい」と呼びかけた。

「総合的な探究の時間」の授業も公開された。「喜多屋ウィーク」と題した授業では、町内の小学生とレクリエーションやクッキングなどを通して交流した様子が報告された。ある生徒は通学列車の長い待ち時間を有効に使いたいと、空き家をリフォームした居場所づくりに取り組んだ経験を報告。「やろうとすればチャンスがある。自分次第で変わってくる。みなさんにはいろいろなことにチャレンジしてほしい」と話した。

県外から「しまね留学」をした入学者数=島根県教育委員会「しまね留学 ガイドブック」から)
(県外から「しまね留学」をした入学者数=島根県教育委員会「しまね留学 ガイドブック」から

人口減による生徒の減少に対応しようと、島根県は2010年度から「しまね留学」という取り組みを始め、県外からの留学生を積極的に受け入れている。全校の生徒数が210人(5月1日現在)の津和野高では、今年度は80人の新入学生のうち県外からの入学が36人を占めた。出身地は、東京や大阪、四国、九州など幅広い。過去4年間の受け入れ数は、17年度21人、18年度20人、19年度12人、20年度24人で、受け入れ数は伸びている。「地域みらい留学365」と呼ばれる2学年の1年間だけの留学制度もある。

大学・短大の合格率も年々上がっている。同校によると、16年度は40%だったが、20年度は62%に上昇した。

茨城県牛久市から今年4月に入学し、寮生活を送る沼田理貴さん(16)は、SNSのツイッターで津和野高の存在を知った。「いろんな県の特徴を知るのが楽しみで、この学校を選んだ」という。「先生たちや先輩も明るい人ばかりなので、暮らしやすい。不安に思わずに来てほしい」。生徒会長の木原雛子(ひなこ)さん(2年)は「津和野高は人と人との距離が近くて、アットホーム。ぜひ入学してほしい」と話した。

新緑の島根県津和野町
新緑の島根県津和野町

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