文系、理系の壁
花まる学習会・高濱正伸さん「理系、文系という枠組みを鵜呑みにしているだけ」
2021.10.08

幅広い教養があれば、いろんな補助線が引ける
――文系、理系の議論は、文系の人にいかに数学やデータサイエンスを学ばせるかという話になりがちですが、同時に理系の人にいかに文系の知識を学ばせるかという視点が必要です。
私は算数の力を表す言葉として、見えない補助線が引けるかどうか、という言い方をよくします。幅広い教養があると、目の前の問題に対していろんな補助線が引けるようになり、今の状況を読み解けるようになります。歴史的な視点は特に必要です。理系分野を専門でやってきた人も、歴史や文学の教養があれば、いろいろな補助線が引けるようになることは確かです。
そもそも理系で数学、物理だけをずっとやってきて試験の点数だけを追い、何の挫折もなくエリートコースを歩んできた人が大人になった時に、目の前にいる奥さんを幸せにできているかと聞きたいです。最低でも目の前にいるパートナーを幸せにできる能力はつけないといけません。それは、人間的経験の量です。
ですから大学合格をゴールにしたら部活や恋愛は無駄かもしれませんが、思春期時代の勉強以外の経験は人生の補助線を引く力につながります。こればかりは数学の問題だけを解いていてもダメです。イノベーションを生み出す力も同じだと思います。
